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記録を作った男の顔

               150佐川美術館2j
 
 ご縁があって、また佐川美術館にいきました。もうすぐ佐藤忠良生誕100年記念展示が終わります。

 今回も、この前行った時にも、強く心惹かれたものの一つが王貞治氏のブロンズ像でした。「記録を作った男の顔」という題です。王貞治という人の秘めた闘志が伝わってきて、神々しささえ感じます。佐藤忠良の解説文には、こう書いてありました。「・・・モデルにはないが、眉間から額の生え際までに少しばかりスーッと糸のような起伏をつけた。意志が苦しみのように表れず、知的に見えればと思ったからである、鍛え上げて作った記録の上に、もう一つたたき上げて生きようとしている男の顔を美しいと思ったのである。」
 記録を作った男も凄いけど、その像を造る芸術家も凄い。

 そして、佐藤忠良は子どものための、図工や美術の教科書の監修、執筆にもたずさわります。

 小学校図画工作の教科書文に、「・・・王さんの一本足を、あの形らしく作ることはやさしいけれど、本当の形を作るのは、とてもむずかしい。王さんが世界記録を立てることができたのは、わたしたちが考えることができないほどの失敗と、練習のくりかえしがあったからだろうと思う。わたしも四十年以上も彫刻をしてきて、失敗の連続であった。このごろになってようやくわかってきたことは、人間は失敗をおそれない、失敗の上に足をしっかりとふまえ、考えて、またやり直してみることが大切だということだ。・・・」
 この教科書も凄い。

 そしてまた、高校の美術の教科書には、「・・・・・・自分の願望を貫き得たということは、力づくで、ただたくましいというだけのことではないのだから、あの意思的な顔の中に、孤独と優しさが出せたら、と考えていた。・・・」
 この教科書も然り。

 1985年に佐藤忠良の書いた「子どもたちが危ない―彫刻家の教育論」(岩波ブックレット)は、「子どもたちが危ない」ことに変わりない今も、必読の教育論です。最近、復刊されました。

*引用文は、すべて、「生誕100年 彫刻家 佐藤忠良」図録より

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