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みんなみすべくきたすべく

子どもの本でちょっとお散歩(川 その17-1)

       139朝6時5分j
「グリーン・ノウの川」
(ルーシー・ボストン作 亀井俊介訳 ピーター・ボストン絵 評論社)

 英国の田舎に行くと、川べりの散歩が楽しみです。
 昨年のヘミングフォード村探訪の2日間でも、グリーン・ノウシリーズの舞台のマナー・ハウスを見学するだけでなく、「グリーン・ノウのおともだち」で、雨が降り続き、川が溢れ洪水になったという、そのウーズ川散歩も楽しみました。マナー・ハウスの庭は、川に面しているのです。

 グリーン・ノウのシリーズは、1120年に建てられ、今も住居として使われているマナー・ハウスとその周りの世界、そこに生きる子どもたちのシリーズです。

 シリーズの中でも、「グリーン・ノウの川」は題名に「川」とあるくらいですから、「川」が舞台となっています。「たのしい川べ」では、「川」がお話の舞台になり、本の骨となりましたが、「グリーン・ノウの川」は、お話の骨と言うより、お話のいたるところに「川」が流れている感じです。これは、「たのしい川べ」がテムズ川で、「グリーン・ノウの川」は、もう少し小ぶりなウーズ川であることが、関係しているかもしれません。大きな川でない分、より生活に密着し、しかも、その川のすぐ目の前に作者ルーシー・ボストンが、住んでいた。

 この本のように身近な視線での「川」の描写、しかも、繰り返し何度も「川」に接しているお話を他に知りません。ところが、その結果、お話全体の構成は、散漫な印象があります。同じシリーズの「グリーン・ノウのお客さま」が、優れた構成で、一気に読ませる力があるのと比べると、少々、差があります。

・・・・・オスカー、アイダ、ピンの3人の子どもたちは、夏休みになる前に、川を探訪し遊ぶのですが、夏休みになって、川に人が増えてくると・・・
≪川はもう、子どもたちが夢中になっていた、神秘的なところではなくなってしまった。もちろん川は、美しく曲がりくねり、きらきら輝き、しかも涼しく、カヌーの下では水があたってピチャピチャ音を立て、空には雲が地平線から地平線までのどかに浮かんでいた。だがそれでも、川はあたりまえの場所―人間の遊び場になってしまった。川を本当の住まいにしている生きものたちは、みんな身をひそめてしまった。本当のいのちはなくなって、水泳プールかお祭りばにすぎなくなってしまった。≫

・・・・・で、アイダは、新しい方針を決めます。
≪『もとどおりの川を見たかったら、夜明けに出かけなきゃだめよ。毎日、空が明るくなりかけたころに起きましょうよ。そしたら、朝ごはんの前に探検できるわ。』≫

・・・・・・そう!そう!英国の田舎の夏の早朝! Very Good Idea !
≪夜明けといっても、まだ太陽はのぼらず、風もなかった。空には雲らしい雲は出ていなかったが、ただいちめんに青白くかげっていた。水面はさびた水銀のようで、遠くには、木々の葉が何か忘れもののようにかすんでいた。進んでいくカヌーのまわりは、深くシーンとしずまっていた。≫
(川 その17-2に続く)

*「グリーン・ノウ」シリーズ(ルーシー・ボストン文 亀井俊介訳 ピーター・ボストン絵  評論社)「まぼろしのこどもたち」

☆写真は、英国ヘミングフォード村、グリーン・ノウの前で6月に撮りました。教会の時計の針は朝6時5分を指しています。

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