FC2ブログ
 

みんなみすべくきたすべく

斜め読み

コートールド1j
「アントニー・ブラント伝」(ミランダ・カーター 桑子利男訳 中央公論社)
先のヴァージニア・ウルフたちのブルームズベリーグループ➡➡は、当時の英国の文化を牽引する一集団だったのですが、そのグループの拡大版が、当時のケンブリッジにもあり、学生たちはマルクス主義に牛耳られていたとされる頃に、今回読んだ伝記のアントニー・ブラントは位置しています。
 
 カ・リ・リ・ロ自身が、ロンドン コートールド美術館を贔屓にしているとはいえ、この本を読むまでは、スパイであり、コートールド美術研究所長という奇異な肩書(経歴)をもつアントニー・ブラントのことは、まったく知りませんでした。若い頃、ロシア側のスパイだったのが露呈したのは、かのサッチャー首相の頃で、結構なトピックだったようですから、単に、個人的に無知だったということなのですが。
 
 友人に紹介され図書館で借りました。この単行本、600ページと分厚くて重くて二段組、2週間以内で返さなくては・・・ということで(と、いう言い訳をして)、斜め読みの部分も多い一冊でした。

  ともかく、ロシアにつながる人脈や同性愛者のつながりのカタカナの名前がどんどん出てくる文章は、頭に入ってこない・・ところが、なじみある画家や芸術家の名前が出てくるところは丁寧に読むという偏った読み方でした。(個人的な興味のあるなしが、自覚できました。)

 ベン・ニコルソンという名前など、≪画家で、ウィリアム・ニコルソンの息子≫しか知らなかったので、抽象作品のところで登場した時は、ふむふむと読んでいたものの、後半、≪下院議員ハロルド・ニコルソンと詩人ヴィタ・サックヴィル=ウェストの息子の美術史家のベン・ニコルソン≫と出てきたときは、えー!?知らなかった。調べなおしました。画家ベン・ニコルソンと美術史家ベン・ニコルソンは、別人。
*注釈くらい一言欲しかったなぁ。英国人や美術関係者には、周知のことだったにしても。
*ヴィタ・サックヴィル=ウェストは、ブルームズベリーグループのヴァージニア・ウルフと恋愛関係に一時期あり、今はナショナルトラスト管理のシシングハースト・カースル・ガーデンの持ち主だった女性。

 スパイであることと同性愛であることがアントニー・ブラントの美術への考え方に反映されているのは、間違いないのですから、全部、精読できる人が正しいとはいえ、やっぱり、まったく知らないカタカナの名前の連続は、ちょっとしんどかった。(続く)

☆写真左は、「アルカディアの牧人」(プッサン画 ルーヴル美術館蔵 岩波美術館 歴史館10) 
 それまで、注目されることの少なかったプッサンをアントニー・ブラントは取り上げました。パリ・ルーヴルで大々的なプッサン展を企画・講演したのも、アントニー・ブライト。本の中には、その後のプッサン論争につながっていく様子も書かれていて、面白い。

PageTop