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みんなみすべくきたすべく

この世は物語だらけ

         ケルムj
(承前)
 「黄金の時刻の滴り」(辻邦生 講談社学芸文庫)のおかげで、いろんな本に手出ししました。

 が、まずは、「丘の上の家」というサマセット・モームの章は、うーん、あれとあれが混在してできた話かなぁ・・・などと、思いながら読みました。サマセット・モームは読んだ数が他よりは少し多いからでしょうか。
 大体、≪山荘は丘の上にあった≫➡➡の出だしの「女ごころ」(尾崎寔訳 ちくま文庫)がありますからね。

 さて、仮想サマセット・モームの口を借りて、辻邦生は、こう書きました。
≪ぼくは、小説家というのは、結局、いかにうまく物語を語れるかに尽きると思っている。物語を必要としない人物は、何も小説を読むことはない。世の中には読むものはいくらでもある。歴史書だって法律書だって、必要な人には欠かせない。ただ小説は、そうした読書とは違う。小説は楽しみのために読むのだ。もちろん楽しみといってもいろいろある。現代人は楽しみというと、大抵低俗なことを考える。だが、世の中には精神の楽しみもある。小説はそのために書かれる。そのためにだけ書かれるといっていい。≫
・・・・とあり、このあと、まだまだ小説談義が続くのです。会話文ですから、いわゆる小説論より面白く読みやすい。

≪・・・「小説家には、つまらない出来事などないんだ。葉が一枚散っても出来事だし、棒が折れても出来事だ。問題は何かが起ることだ。」「では、この世は物語だらけですね。」「そうだ。物語だらけだ。・・・・≫(続く)
☆写真は、英国 ケルムスコットマナー

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