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瀬田貞二の「絵本論」

     レマン湖よあけ
(承前) リリアン・H・スミスの「児童文学論」(岩波)が、児童文学のバイブルならば、 「絵本論ー瀬田貞二 子どもの本評論集」(福音館)は、絵本のバイブルです。(もちろん、 「センダックの絵本論」(岩波)も、忘れていませんけれど)

 瀬田貞二の「絵本論」は読みやすい評論集です。
 特に「第一部 絵本にであう」は、「こどものとも」の月報に入っていたものなので、かみ砕いた文章になっています。
 後半は、作家論、作品論となっているのですが、これも、学術書のような硬さはありません。

 リリアン・スミスの「児童文学論」と同じく、瀬田貞二の「絵本論」も、何度も読んできました。1985年初版です。
 さすがに、「児童文学論」を読んだ時のような学生時代の無謀さはなく、赤インクや蛍光ペンで線を引くということはありませんが、やっぱり、青インク、黒ボールペン、鉛筆、そして書き込み、付箋が貼り付けてあります。

 リリアン・スミスの「児童文学論」にしても、瀬田貞二の「絵本論」にしても、初めから、全部理解できたわけではありません。数多くの作家や作品、絵本画家など、何度か読むうちに、「ああ、この人だったのね」「ああ、この絵画見たことある」と、つながっていくのは、うれしいものです。
 
 さて、この本で、一番初めに線を引いたと思える瀬田貞二の文は、ここです。
≪幼い子どもたちは、成長することを仕事にしています。のびのびと育っていく本能にかられて、動きたい、休みたい、愛したい、認められたい、成しとげたいという、体いっぱいの意欲にふくらんでいます。そして、本能的な意欲は、楽しみたいという欲求の形になってほとばしります。心身が火だるまのようになって遊ぶことは、その一つのあらわれです。そしてお母さんの読んでくれる物語に耳をかたむけながら、くりひろげられる美しいリズムのある絵に見いること、つまり絵本を「読む」ことも、その一つです。だから、幼い子どもたちが絵本のなかに求めているものは、自分を成長させるものを、楽しみのうちにあくなく摂取していくことです。…≫

・・・・そんな「絵本論ー瀬田貞二子どもの本評論集」と、「落穂ひろいー日本の子どもの文化をめぐる人びと」「児童文学論ー瀬田貞二子どもの本評論集」の三つの評論集(いずれも福音館)を編集した荒木田隆子が、その編集経験をもとに瀬田貞二について語った講演録が出ました。「子どもの本のよあけー瀬田貞二伝」(荒木田隆子 福音館)
 他にも、瀬田貞二生誕100年を記念して、新刊や限定出版など福音館から出版されています。(続く)

☆写真は、スイス レマン湖の夜明け 「よあけ」(ユリー・シュルヴィッツ作 瀬田貞二訳 福音館)➡➡ 

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