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みんなみすべくきたすべく

いっそうささやかなもの

     にーせん13j
(承前)
 娘は、ディケンズの「クリスマス・キャロル」を読まないとクリスマスになった気がしないと言います。
 カ・リ・リ・ロは、絵本の「クリスマス・イブ」と、「水晶」を読まないと、クリスマスになった気がしないかもしれません。とはいえ、前者は、しつこく学生の前でも、集まってくださるお母さんの前でも、毎年読んでいますが、後者は、時として本棚で静かに過ごしている年もあり・・・

 結末もわかっているのに、けなげな兄と妹が、どんどん迷っていく、そして冷たい世界で眠りそうになる妹、知恵を働かせる兄・・・この箇所は、何度読んでも、心穏やかに読めず、ぐいぐい引き込まれていきます。
 大仰な言葉も装飾過剰な言葉もなく、ごくわかりやすい当たり前のことが淡々と描かれているだけなのに・・・

シュティフターは「石さまざま」の序で、自らいうのです。
≪わたしはかつて、わたしが作家として小さなものばかりを材料にし、わたしの描く人物がいつもありふれた人物だ、という非難をうけたことがある。もしそれがほんとうであるとすると、わたしは今日は、讀者にいっそう小さい、いっそうささやかなものを提供するわけである。つまり、幼いものたちの心をよろこばす慰みごとの類である。わたしはこれらのものによって、ふつうおこなわれているように、徳とかしつけとかを説教する氣はないのであって、ただこれらのものがあるがままの姿をつうじて、はたらきかけることを願うのである。・・・・・≫(続く)

☆写真は、スイス ニーゼン山頂。

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