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ベラミと星月夜

星月夜j
(承前)
 【ファン・ゴッホ書簡全集第6巻(みすず)の孫引きで、「ゴッホとモーパッサン」(清水正和著 皆美社)】
 ゴッホは妹宛てに、こんなことも書きました。
≪このごろぼくは星月夜をどうしても描きたいと思っている。ぼくには夜の方が昼よりもずっと色彩が豊かで、最も強い紫や青や緑の色合いがあるように思える。よく注意して見れば、ある星はレモン・イエロー、また別の星は燃えるようなピンク、あるいは緑、緑、青、忘れな草の輝きをもっているのがわかるはずだ。・・・・(中略)・・・きみはモーパッサンの「ベラミ」を読んだかね。こんなことを言うのも「ベラミの書き出しがたまたまブールヴァールの灯があかあかと点った夜のカフェがあるパリの星月夜だからで、この点ぼくが描いたものに非常に近いからだ。ぼくはモーパッサンの書くものが大好きで、彼の作品を全部読むことをきみに強くすすめておく。・・・≫

 すごい入れ込みようではありませんか。ベラミから刺激を受け、モーパッサンに心酔している様子は、
≪ぼくは美貌の男(ベラミ)の柄じゃないが、モーパッサン風の男が絵画の世界にあらわれて、この土地の美しい人々や風物を華麗に描いたとしたら、ぼくはどんなにうれしいことだろう。≫と、書いています。
 
 そして、弟テオに、書いたものには、
≪きみは幸運にもギ・ド・モーパッサンに会ったそうだが、ぼくはつい最近、フローベルにささげた彼の処女作「詩集」を読んだところだ。その中にはすでに彼の本質、あの「水の上」がある。つまりフランスの小説家のなかでは、画家でいうならデルフトのファン・デル・メール(フェルメールのこと)のレンブラントに対する関係が、モーパッサンとゾラとの関係にあたる。≫とあります。

 ゴッホが、フェルメールに言及している!
 この短い私信の中に、なんと すごい人たちの名前が登場し、それが関連付けられていることか。(続く)
☆ ゴッホのいわゆる耳切事件の後に描いた「星月夜」は、暗く、異様な感じがただようのですが、写真は、それ以前のローヌ河べりの印象派風「星月夜」

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