FC2ブログ
 

みんなみすべくきたすべく

ゴッホとモーパッサン

あさもや15j
(承前)
昨日の 「類は友を呼ぶ」を受けて、ではありませんが、 「ベラミ上下」(モーパッサン 杉 捷夫訳 岩波文庫)は、ゴッホを呼んだらしい。

 ゴッホは、パリで「ベラミ」を読み、ひどく感銘を受けたようです。「石膏像のある静物」という絵には、二冊の本(綴じ冊子)も描かれています。一冊は、 「ジェルミニィ・ラセルトゥウ」 (ゴンクウル兄弟作 大西克和訳 岩波文庫)で、もう一冊は「ベラミ」です。
 読書家のゴッホは、フランス小説を読み漁り、各所に書簡を残しています。

 この書簡はゴッホから妹宛てのもので、この手紙を書いた頃に、「石膏像のある静物」を描いているのです。
≪われわれ文明人が何より悩んでいる病は憂うつ病であり、ペシミズムなのだ。そこでたとえば、ぼくのような、長い年月、笑いの欲求が欠乏していた人間は、心から高らかに笑いたい欲求をいの一番に感じる。ぼくはそれをギ・ド・モーパッサンのなかにみつけた。また他にも過去の作家ならラブレー、現代作家ならアンリ・ロシュフォールの作品に見いだせる。ヴォルテールの「カンディド」にもある。それとは反対に、あるがままの人生の真実を欲するなら。たとえばゴンクールの「ジェルミニー・ラセルトゥ」や「娼婦エリザ」、ゾラの「生きるよろこび」や「居酒屋」、その他多くの傑作がある。かれらは人生を如実に描くから、人生の真実を語ってほしいという万人の欲求を満足させるのだ。フランスの自然主義者、ゾラ、フレーベル、モーパッサン、ゴンクール、リシュパンやユイスマンはすばらしい。もし、現代に注意を払わなければ、自分が現代の人間であるとはいいきれまい。モーパッサンの傑作は「ベラミ」だ。…≫
【ファン・ゴッホ書簡全集第6巻の孫引きで、「ゴッホとモーパッサン」(清水正和著 皆美社)】

 ゴッホは、モーパッサン「女の一生」も読んだと推測されますが、誰の書簡にも、そのことは書かれていないところを見て、「ゴッホとモーパッサン」の著者清水正和は言います。
≪思うにパリに来た当初は、「女の一生」のようなペシミスムにみちたわびしい作品よりも、同じ人生の悲劇を扱いながらも「ベラミ」ふうな、風刺と笑いで読者を楽しませる書き方をした作品のほうにゴッホは惹きつけられ楽しんだようである。≫
(続く)
☆写真は、兵庫県篠山の朝靄
 

PageTop