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災難に巻き込まれる不運にぶつかりそうな本

       よっとj
(承前)
 中公新書「オスカー・ワイルド 〈犯罪者〉にして芸術家」の後半は、世紀末を賑わせた裁判が中心となっているのですが、出獄後、亡くなるまでのエピソードに、興味深い人との関わりも出てきます。
 その中の一人が「アーサー・ランサム」!!!

 アーサー・ランサムは、「オスカー・ワイルド研究」を書いているのです。
≪その本がもたらす災難など全然予想だにせず、私はワイルドについて調べ続けていた。≫と「アーサー・ランサム自伝」第一部第15章「重なる災難」は始まります。
 また、続く第16章「ダグラス裁判」は≪1912年から13年にかけての冬は、悪夢の連続だった。≫と始まります。

 「ダグラス裁判」・・・つまり、ワイルドの没落を招いた「相方(あいかた)」アルフレッド・ダグラス卿です。ダグラス卿は、わずかな許しがたい言及に執念深く飛びつき訴訟を起こしたようです。
 この裁判は、結果、アーサー・ランサム側が勝訴します。
 ランサムの書いた「オスカー・ワイルド研究」という本は、当時の書評によると「ワイルドに関しての、穏健で冷静で公平で洞察力のある本・・・ふさわしくてきっちりと書いておくべきだった本」と激賞されもしていて、煽情的な方向を取っていなかったことが勝訴につながります。が、この苦い経験のあと、ランサムは言います。≪私は、いかなる犠牲をはらっても、二度とふたたびこんな災難に巻き込まれる不運にぶつかりそうな本は書くまいと決心していた。≫(続く)

*「オスカー・ワイルド 〈犯罪者〉にして芸術家」(宮崎かすみ著 中公新書)
*「アーサー・ランサム自伝」(神宮輝夫訳 白水社)
*「アーサー・ランサムの生涯」(ヒュー・ブローガン文 神宮輝夫訳 筑摩書房)
*「ツバメ号とアマゾン号」シリーズ(アーサー・ランサム 岩田欣三・神宮輝夫訳 岩波)
☆写真は、スイス レマン湖

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