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みんなみすべくきたすべく

自然が結びつけたもの

ヒルトップj
(承前)
 実は、「ウィンダミア卿夫人の扇」のあと、しばらく、ワイルドのことを書いています。が、自分が書いた文を、朝、読んでいたら、こりゃ、ウィンダミア湖といったら、「ピーター・ラビット」でしょ・・・
 もはや、25年くらい前、初めての英国旅行先に選んだ一つが、湖水地方でした。「ピーター・ラビットの世界」と「アーサー・ランサムの世界」に触れるためでした。この時のことは、いろんなところで文にしましたが、お話の景色が、そのまま残って居る美しい湖水地方に魅了され、そのまま英国びいきがヒートアップ。

 ウィンダミア湖を渡ったニアソーリー村に暮らしたポター(1866~1943)と、ウィンダミアのほとりの別荘で執筆したワイルド(1854~1900)。活躍の時期が少々違うとはいえ、時代もさほど大きく変わらないのに、しかも、同じ湖水なのに、空気の吸い方が違うところが面白い。
 ポターは、その自然を愛で、土地を離れず、最後は畜産家として暮らしました。しかも、ナショナルトラストという自然保護の基盤となる事業に自分の土地を寄付するという人生でした。
 が、ワイルドは、派手な生き方で、当時の社交界でもてはやされたものの、晩年は、投獄され、パリでひっそり客死・・・

 そんなこと比べても、ワイルドは、大人の小説や戯曲で、ポターは子どもの絵本じゃないか、という声もありましょう。とはいえ、ワイルドも童話と称した作品を書き残しているのです。

 湖水地方で、忘れていけないのは――もちろん、ランサムですが――ポターやワイルドと時代が異なり、また、ウィンダミアではなくグラスミアに居住した自然派詩人ウィリアム・ワーズワース(1770~1850)が居ます。
 ワーズワースの「早春の歌」の一節に、こんな言葉がありました。
≪「自然」はその美しき創造物(つくりもの)に、我が心に流るる人間の魂を結びつけたり。≫(続く)

*「ウィンダミア卿夫人の扇」(オスカー・ワイルド 厨川圭子訳 岩波文庫)
*「サロメ/ウィンダミア卿夫人の扇」(オスカー・ワイルド 西村孝次訳 新潮文庫 )
*「ピーター・ラビット」シリーズ(ベアトリクス・ポター文・絵 石井桃子訳 間崎ルリ子訳 福音館)
*「ワーズワース詩集」(田部重治訳 岩波文庫)

☆写真は、英国湖水地方。ベアトリクス・ポターの住んだ家と菜園。(撮影:&Co.I)

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