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みんなみすべくきたすべく

粘っこい繰り返し

        ステンドグラス部屋jまだ
(承前) 
 ワイルドの戯曲「サロメ」を読み返してみました。ビアズレーの絵のついている「サロメ」 (福田 恒存訳 岩波文庫)ではなく、「まじめが肝心」も入っている「サロメ・ウィンダミア卿夫人の扇」(西村孝二訳 新潮文庫)です。

 戯曲「サロメ」は、言葉を繰り返していくことによって、重みを増していく、深みにはまっていく面白さが味わえます。
 どろどろした深みに入るのが、この話の真髄でもあるのですから。
 サロメがヨカナーンにいいよる台詞。
 ヘロデがサロメの機嫌をとる台詞。
 それらの表現の細かいこと。 

 以前、ビアズレーの絵のついた「サロメ」を読んだときは、言葉の面白さより、その絵の強烈さに押されていたのかもしれません。また、モローのサロメの絵の印象が優り、ワイルドの戯曲「サロメ」本体の言葉の粘っこさの記憶が遠のいていたような気がします。 

 さて、「カンタヴィルの幽霊」等の中編、それに「ウィンダミア卿夫人の扇」「まじめが肝心」の戯曲などは、言葉のやりとりが生き生きとした娯楽性の高い作品です。華美なビクトリアン。
  反対に、暗くて重い戯曲「サロメ」、ハッピーエンドではない9つの童話、陰湿な世紀末の長篇「ドリアン・グレイの肖像」、そして、ビクトリアンどころではない、世紀末どころでもない長詩「レディング牢獄の歌」。ワイルドは享年46歳ながら、いろいろ書きました。(続く)

*「カンタヴィルの幽霊・スフィンクス」(南條竹則訳 光文社古典新訳文庫)
*「ウィンダミア卿夫人の扇」(厨川圭子訳 岩波文庫)
*「サロメ/ウィンダミア卿夫人の扇」(西村孝次訳 新潮文庫)
*「サロメ」(ビアズレー絵 福田恒存訳 岩波文庫)
*「幸福な王子」(西村孝次訳 新潮文庫)
*「ドリアン・グレイの肖像」(福田恒存訳 新潮文庫)
☆写真は、スイス オーバーホーヘン城内

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