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みんなみすべくきたすべく

アカシアの花を一輪

         ミモザj
(承前)まずは、「カルメン」(メリメ 堀口大學訳 新潮文庫)から。

  情熱的な女性がフラメンコを躍る。真っ赤なバラをくわえ、あの衣装で・・・というイメージしかなかったのですが、この原作は、考古学者が見聞きしたことで成り立っています。最後の章などは、ジプシーについての民俗的な考証になっているのです。

 言わば、 主人公は、カルメンではなく、山賊になってしまったホセですが、毒婦「カルメン」に振り回された挙句の果て、殺人。また、華麗な闘牛士リュカスももう少し出てくるかと思いきや、結構,端役。が、しかし、強烈な個性の彼女は、時代を超えて人の心に印象付けられます。

≪あの女はいくつもの穴のあいた白絹の靴下をのぞかせる、真っ赤な短いペチコートをつけ、火色のリボンで結んだ赤いモロッコ皮のかわいらしい靴をはいていました。あの女は肩とシュミーズのあいだにはさんだアカシアの大きな花束を目立たせるために、かぶっていたマンティーヤをうしろにはねのけました。あの女は別にアカシアの花を一輪、唇のすみにくわえていました。そしてコルドヴァの牧場の牝馬のように、腰をふりながら歩いていました。≫

 え?カルメンの唇に加えた花は、真っ赤なバラでなく、アカシアだったの?原文cassieは、アカシアの類で、いわゆるミモザの類。黄色い小さな花は赤い服装に強烈に映えます。それに、放浪のジプシー女性の香りづけとして、胸元に甘い香りのアカシアは、理に適っています。ただ、小さなミモザより、情熱的なイメージだけなら真っ赤な薔薇かなぁ。・・・・とはいえ、バラもミモザも棘があるけれど。
*堀口大學訳(新潮文庫)も杉捷夫訳(岩波文庫)でも、アカシアとなっていました。(続く) 

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