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みんなみすべくきたすべく

瑞士国ノ記

スピーツ湖畔j文庫2jj
(承前) 
 実は、「ランボー詩集」に興味を示さなかった夫ながら、彼は、別角度からスイスにアプローチしておりました。
 それは、初夏辺りから読み始めていたらしい 「特命全権大使 米欧回覧実記」 (久米邦武編 田中彰校注 岩波文庫)という全5巻の岩波文庫です。(文は、全文カタカナと漢字の日誌です。)

 詩集を楽しめない夫と、ノンフィクション5巻を読めない妻、ということです。が、しかし、帰国して、スイスだけでもと、読んでみました。
  米欧を回覧する目的の使節団(岩倉使節団)一行が米国から始まりヨーロッパ各地を回り、その5巻目で、やっとスイスに入ります。時は、1873年明治6年。

≪自国ノ権利ヲ達シ、他国ノ権利ヲ妨ゲズ、他国ノ妨ケヲ防ク是ナリ、故ニ内ニハ文教ヲ盛ンニシテ、其自主ノ力ヲ調達ス、教育ハ独逸語ノ部分殊ニ盛ンナリ、教育ノ淶(あまね)クシテ、民ニ礼アリ学アリ、生業ニ勉強スルコト、此国ヲ最ト称ス・・・・・・≫
 
 そして、独、仏、以(伊)の三人種でなるこの国は、
≪・・・此国ノ民ハ、ヨク財産ヲ平均シテ、貧疲ノ戸甚タ少シ、国中協和シ、他国ノ人ニ交接スル懇切ナルハ、純粋共和国ノ気質ニ教育セラレタリト謂フヘシ、人ミナ辺幅ヲ修メス、礼儀ヲ簡ニシテ、真率瀟洒ナリ、其学術教育ハ一般ニ行届き、文明国ノ最上等二位ス・・・・≫

・・・と、スイスの教育を絶賛しています。
 三人種でなる、いわば、複雑に入り組んだ国が、今、現在も、三つの言語を公用語としながら、永世中立国で在り続けるのは、教育に力を入れてきた底力だと気付かされます。
 目先の経済や誰かの傘下に入ることに力を注ぐのではなく、教育に力を。それは、すぐには芽を出さず、力を見せずとも、将来、その国の礎になるのですから。
 そしてまた、観光資源で成り立つ国だとはいえ、観光客に懇切に接するのは、100年以上昔からだったのですね。(続く)

☆写真は、シュピーツ駅からシュピーツ城、トゥーン湖を望む。写真下は、「特命全権大使 米欧回覧実記」の中の記録絵。≪瑞士「ベロン」郡「チュン」湖の景≫とキャプションがついています。*ベロン=ベルン チュン湖=トゥーン湖

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