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長編小説部門

おぺらざj
「ジョウゼフ・アンドルーズ(上下)」 (フィールディング作 朱牟田夏雄訳 岩波文庫)
(承前) 
  面白い現代小説もいいけれど、やっぱり古典になって残っている「長編小説」も、もちろん面白い!

 フィールディングの作品を読んだことがありませんでした。サマセット・モーム「世界の十大小説」の一冊に選ばれている、フィールディングの「トム・ジョウンズ」が、岩波文庫の棚に並んでいたのは知っています。昔、こんな名前の歌手が居たなぁ・・・などといつも思いながら、手に取ることもなく今に至って、今やその4巻中半分が品切れになっていて、後悔することしきり。が、ともかくも、「ジョウゼフ・アンドルーズ上下」は読みました。

 ≪英国小説の父≫とも呼ばれるフィールディング(1707~54)らしいのですが、この本を手に取ったのは、挿絵画家のクルックシャンクのことをいろいろ調べているときに、「クルックシャンクがこの本の挿絵も書いた」と見つけたことに端を発します。
 残念ながら、岩波文庫には、クルックシャンクの挿絵は、表紙にちょこっと使われているだけです。全編ついていたら、それはそれで楽しいだろうと思いますが、挿絵なしでも、この冒険話は、面白く可笑しい。

 現代小説にある心理描写と違い、単純でわかりやすい心の動き。というか、気持ちがすぐ行動につながります。荒唐無稽というほどでもないし、重くもない。ただ、一人一人の人間の描写は目の前に居る人のよう。
 次々と事件は起こるし、未亡人の駆け引きも可笑しすぎるし、ハッピーエンドに違いないと思いながら読み進んでも、最後までハラハラするし、表紙のキャプションにあるように≪「物語」を読む原初的な楽しさに満ちている≫話なのです。

 滑稽な箇所は多々あるのですが、すでにこの小説の頃(1742年)には、フランスのお洒落が、庶民の話題にもなっていたのがわかる箇所を。書いたのは英国人フィールディングです。念のため。

≪全部フランス製ですよ、外套だけは別ですが。英国人には外套ぐらいしかまかせられんですよ。できるだけ国産奨励も必要ですがね。・・・・・・(略)・・・・正直いうと私は、英国製のぼろ布などを身につけるくらいならむしろこんな汚い島国は海の底に沈んでしまえと思います。あなただって一度パリに旅行なさったら、着物のことは必ず同じ意見におなりですよ。フランス仕立ての服があなたの美しさをどれほど引き立てることか、とてもご想像できますまい。決して嘘じゃないですが、帰って来て初めてオペラに行ったときは、この国の貴婦人をみんな小間使かと思いましたよ、へっへっへ!≫
☆写真は、パリ オペラ座

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