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みんなみすべくきたすべく

遠い水平線

すいへいせんjj
(夢の続き)(承前)
 タブッキが続きます。次は「遠い水平線」です。
 ≪・・・その夜、彼は夢を見た。もう何年も見なくなっていた、あまりにも遠いころの夢だった。子どもじみた夢、彼はさわやかで、無心だった。夢をみながら、奇妙なことに、やっと、その夢に再会したような自覚があった。そして、そのことで、彼は解き放たれたように、もっと無心になった。≫

 死体置き場の番人スピーノが、それまでの謎解きに一つの結論を出し、最終章の前の章の最後で、夢を見たのです。
 身元不明の死体の正体探しというのが、この中編小説「遠い水平線」の内容です。
 身元不明者ですから名前がなく、仮の名前がカルロ・ノーボディ(Nobody)。

 訳者あとがきに、作者タブッキは、『海底二万海里』のネモ館長の話を少年時代の思い出としてたびたび言及しているとありました。このネモという名前がカルロ・ノーボディを想起させるとあります。ネモ(Nemo)はラテン語で誰でもないを意味します。(続く)

*「遠い水平線」(タブッキ著 須賀敦子訳 白水社)
*「海底二万海里」(ジュール・ヴェルヌ 清水正和訳 A・ド・ヌヴィル絵 福音館)
☆写真は、英国 ドーバー (撮影:&Co.I)

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