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みんなみすべくきたすべく

詩のすきなコウモリの話

       リスいないj
「詩のすきなコウモリの話」 (ランダル・ジャレル作 モーリス・センダック絵 長田弘訳 岩波)
(承前)
 ・・・やっぱり、この本のことは書いておこう。
 
 モノマネドリの歌を聴くのが好きな小さなコウモリは、眠らなくてはいけない昼にも、起きて、いろんなことを目にするようになります。そして、モノマネドリのような歌を作ります。モノマネドリに自分の作った歌を聞いてもらい、批評してもらうのですが「問題は、詩を作ることじゃないんだ。問題は、その詩をちゃんと聴いてくれるだれかをみつけるということなんだ。」・・・というわけで。詩を聴いてくれるシマリスに出会い・・・

 浮き世離れした小さなコウモリの話です。アクセクしない。のんびり、おっとり、謙虚な姿勢が魅力です。優しい心根のシマリスもいい。二人のやりとりは、心温まります。
 そして、コウモリは「生まれたばかりのコウモリは・・」で始まるコウモリ自身の歌を作ります。まず、シマリスに全編聴いてもらい、次には、仲間に聞いてもらおうと、仲間のところに戻り・・・

 ところで、作家で詩人の池澤夏樹が、須賀敦子全集第5巻(イタリア翻訳詩集他 河出文庫)の解説でこんなことを書いています。
≪・・・誰もが心の奥の方に「若いころ、わたしは・・・」で始まる記憶を持っている。それがこうして美しく普遍化される。共有のものになる。それが詩人の仕事である。・・・≫

小さなコウモリも詩人の仕事をしたというわけですね。

 さて、ランダル・ジャレルの残した4冊の子どもの本(「はしれ!ショウガパンうさぎ」「詩のすきなコウモリの話」「陸にあがった人魚のはなし」「夜、空を飛ぶ」)のうち3冊までがセンダックの挿絵だということからも、息があったパートナーだったのだと推測できます。そしてまた、そのうち3冊が長田弘訳というのも、国を越え、つながるものを感じます。

*「はしれ!ショウガパンうさぎ」(ランダル・ジャレル文 ガース・ウィリアムス絵 長田弘訳 岩波)
*「詩のすきなコウモリの話」(ランダル・ジャレル文 モーリス・センダック絵 長田弘訳 岩波)
*「陸にあがった人魚のはなし」(ランダル・ジャレル文 モーリス・センダック絵 出口保夫訳 評論社)
*「夜、空を飛ぶ」(ランダル・ジャレル文 モーリス・センダック絵 長田弘訳 みすず書房)
☆写真は、ロンドン ケンジントンガーデンズ 中央小さく見えるのは、ワッツ作≪Physical Energy ≫リスもどこかに写っているかも。

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