FC2ブログ
 

みんなみすべくきたすべく

文庫本の表紙

            悪の華j
(承前)
 ムンクで思い出したのが、新潮文庫「悪の華」(ボードレール 堀口大學訳)の表紙(写真右)。かつて「叫び」ととも盗難にあったと「マドンナ」という油彩と同じ図像、周りには、受胎を想起させる装飾がされています。

 この文庫本には、表紙部分しかムンクが使われていませんが、多分、実際の「悪の華」には、ムンクの挿絵が描かれている版もあるのだろうと、思います。
 時々、文庫本になっているものに、ええっ!この画家の絵が表紙!挿絵!うーん、小さいながら、贅沢!と思うことが多々あります。

 例えば、「博物誌」(ルナール 岩波文庫 新潮文庫)の両二冊の挿絵が、ロートレックであり、ボナールであり。
 また、「悪の華」と同じシリーズだと思える新潮文庫にも、「アポリネール詩集」(堀口大學訳)の表紙は、ピカソが描いたアポリネール、「コクトー詩集」(堀口大學訳)の表紙は、コクトー自らの画です。
 多分、当時の詩集そのものは、すごい豪華本なのかもしれません。(写真左は、アポリネール「動物詩集 又は オルフェ様の供揃い」(堀口大學訳 求龍堂)のラウル・デュフィーの版画「猫」のページ。)
 

 さて、ムンク表紙のボードレーヌ「悪の華」は、ついついページを繰ってしまう言葉がならんでいます。今となっては古い日本語という人も居るかもしれませんが、個人的には堀口大學の語調と日本語の選び方に惹かれます。下記の一番最後の言葉なんか、綺麗な日本語!
≪「音楽」
しばしばよ、音楽の、海のごと、わが心捉うるよ! 
  青ざめし、わが宿命の、星ざめし、
靄(もや)けむる空の下、無辺なる宇宙へと、
  われ船出する。
・・・・・(略)・・・・・・・
・・・・・(略)・・・・・・・
  わだつみの奈落の上に、
われを揺る(ゆする)。ーーーまたある時は、油凪(あぶらなぎ)、見る限り一面の
  わが絶望の、真澄鏡(ますかがみ)!≫
 

PageTop