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ホフマン短編集

ウィンドツリーj
 (承前)
 先の「クルミわりとネズミの王さま」(岩波少年文庫)のホフマンという作家の解説の続きに≪・・・ことにその怪奇と幻想に満ちた小説は、代表作とされる「黄金の壺」や「牡猫ムルの人生観」をはじめ、・・・・≫とありました。
 うーん、どっちも買うだけ買って読んでない!
 で、手初めに、
「ホフマン短編集」から読んでみました。挿絵ついてるし、短編だし・・・

 中でも、「G町のジェスイット教会」という短編は、読んでいる ちょうどその頃、「ホドラー展」に行ってホドラーの描く抽象化された「風景画」を見た頃だったので、この短編に書かれた「風景画」というものの捉え方が、実際に見たホドラーの「風景画」と重なりました。

≪…この私は、風景画を歴史画の下手におくようなばかではない。方向こそちがえ求めるものは同じ一つの目標だと思っている。・・・・・・(中略)・・・・・自然を知る者は自然の声を聞きとるものさ。木や繁みや花や山や湖水が不思議な声でもって意味深い秘密を語りかけている。それを聞きとり、そっと胸に収めてだ、そののちようやく、神の御意志(みこころ)のように、予感したところを具体的に描きあげる能力が生いそだつ。・・・・・(中略)・・・・菩提樹の木の葉や糸杉やプラタナスの方が描かれた風景よりもはるかに自然に忠実だし、実際の風景の方がずっと霧深く、野の水の方が一段と清らかであるなどのことはだね。自然界そのものの中にある精神に入りこみ、より高度な王国に至らねばならん。そのときはじめて光輝ある風景がみえてくるー描写力を身につけるために腕の訓練につとめることだが、それが芸術では決してない。自然界のより深いところに入りこめたなら、自分の心の中にさまざまな形象がこれまでとはまるでちがった光輝につつまれて現われてくるのをみるだろうよ。≫(続く)

*「クルミわりとネズミの王さま」(ホフマン作 上田真而子訳 岩波少年文庫)
*「黄金の壺」(ホフマン 神品芳夫訳 岩波文庫)
*「牡猫ムルの人生観 上下」(ホフマン 秋山六郎兵衛訳 岩波文庫)
*「ホフマン短編集」(池内紀訳 岩波文庫)

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