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くるみわり人形

            クルミ割り人形j
(承前)
 今度はセンダックの「くるみわり人形」 (ほるぷ出版)。この本の中にもモーツァルトの胸像が描かれていて(おもちゃ戸棚の上)、センダックのモーツァルトへの思い入れを感じます。
 
 E.T.A.ホフマンの「クルミわりとネズミの王さま」 (岩波少年文庫)は、チャイコフスキーのバレエ組曲「くるみわり人形」として、世に知られていると思います。小学校の音楽鑑賞の時間に初めて聴いた「こんぺい糖の踊り」や「中国の踊り」や「花のワルツ」。うーん、素敵!バレエを習ってる子が居るなんて!うーん、いいなぁ・・・
 組曲は、どの曲もわかりやすく、我が家にLPを購入してもらい、子どもが勝手に触ってはいけないステレオで聴いた覚えがあります。残念ながら、その後も、実際のバレエ舞台を見たことはありませんが、何らかの映像で見たバレエの可愛く、ロマンチックなこと。
 ・・・と、バレエ用のお話だと、大人になるまでずっと思って居たら、原作には「かたいくるみの物語」という事件に至る原因のところもあって、少々お話が長い。

 で、センダックの「くるみわり人形」です。この本の序に、バレエ「くるみわり人形」の舞台美術の依頼を受けたセンダックは、こう寄せています。
≪・・・・「くるみわり人形」のバレー自体の持つ魅力には疑問の余地はありません。平凡な上演の場合でさえも、おおかたの観客を退屈させません。・・・・・(中略)・・・・・・バレー「くるみわり人形」には、ホフマン原作の物語の決定的なわき筋ともいうべき物語の中の物語が、まったく見られない、ということに気づきました。劇的な問題点といえます。「かたいくるみの物語」は、物語全体に劇的感覚と、必要とする心理的意味づけを与えています。バレーにこの部分が欠落していることは、中心部分を空白にし、弱めています。≫と、センダックや美術監督は考えます。そして、ホフマンの原作に立ち返るものの、ホフマンの字面を追うより、ホフマンの本質、ホフマンの精神に従う方法を選び、絵本としての「くるみわり人形」を作るときには、バレーのためのステージデザインと衣装、この物語のために描いた絵や、その他何枚かを加えたもので構成したと書いてあります。
 つまり、世に何冊か出ている「くるみわり人形」の絵本は、バレエ用のお話絵本ですが、センダックの「くるみわり人形」の大きくて重い一冊は、バレエの雰囲気と原作を正当にとらえようとした結果の一冊だということです。(続く)

*「くるみわり人形」(E.T.A.ホフマン ラルフ・マンハイム英語訳 渡辺茂男日本語訳 イラストレーション モーリス・センダック ほるぷ出版)
*「クルミわりとネズミの王さま」(ホフマン作 上田真而子訳 岩波少年文庫)
☆写真は、「くるみわり人形」(ほるぷ出版)の見返し部分と表紙。

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