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みんなみすべくきたすべく

部族の蜂起から変わる

      イケニ女王j
(承前) 
 サトクリフの「第九軍団のワシ」をはじめとする何冊かのローマン・ブリテンものを読んでいると、ローマ人の立場、あるいは、ローマ化されていったブリテンの視線で読み進むので、自ずと、ブリテン島に溶け込んでいった、あるいは溶け込もうとするローマ人側にたって読んでいます。

 ところが、 「闇の女王にささげる歌」 (ローズマリー・サトクリフ 乾侑美子訳 評論社)は、卑劣な侵略者としてローマ人(軍)を描いているものですから、今度は、原始的な殺戮を繰り返す女王であっても、そりゃ、ローマが卑怯やから仕方ないね。という視点になります。人間の尊厳すら踏みにじったら、そりゃ、怒るわ!
 
 そして、その怒りを、サトクリフは、残忍さで読み進めなくなるくらいの表現を使っても、描き切りました。
 この話を読んでいると、侵略者・征服者と、被征服者の争いの繰り返しが、地球のどこかで、もう2000年以上も続いているのだとわかるのです。現在の地球上で実際に起こっているような問題が、あるいは、清算してこなかった現実が、ほとんどすべて、この話の中にはあるからです。

 サトクリフは、あとがきでこんなことを書いていました。
≪女王と姫たちへのローマ人のあつかいは、単に残忍で粗野だというだけでなく、もっと悪い、命そのものへの冒涜、ということになります。また、そのあとに起こったことも、部族の蜂起から、聖戦へと変わります。そうして、聖戦ほど、あらゆる戦いのなかでもっとも残虐で無慈悲な戦いはありません。≫(続く)
       
         こうまj

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