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みんなみすべくきたすべく

まじっていく

             カエサルj
(承前)
 「ケルトの白馬」のイケニ族ルブリンの時代(~紀元前1世紀)から、100年以上経ると、「第九軍団のワシ」の舞台、ローマンブリテン(紀元後1世紀~)の時代になります。 
  「第九軍団のワシ」には、こんなことが書いてあります。
≪・・「叔母と叔父は、カミラとよびます。でも本当の名前はコティアよ。」少女はいった。「あの人たち、なんでもローマ風が好きなの。おわかりでしょ。」
「あなたはローマ風が好きじゃないんですか?」マーカスはたずねた。
「わたしが? わたしはイケニ族なのよ!…(略)・・・」
・・・・・・・(中略)・・・・・・・・
「カミラとよばれればラテン語で返事をするわ。でも着物の下のわたしはイケニよ。夜着物をぬぐ時、わたしはいうの。『ほら、これで明日の朝まではローマとはおわかれよ!』 ≫

 このコティアの言葉から、部族の誇りと、今の生活との折り合いをどうつけているかが、よくわかります。いがみ合うだけでなく、戦うだけでなく、個人のレベルでは、敷居を低くし、友好的に「まじっていく」のが、常だったのでしょう。ただ、それには、時間が必要だということも、サトクリフの作品群からわかります。
 サトクリフは、英国の歴史を書きながらも、その中身は、歴史のデキゴトを書いているわけではありません。「人」 と「人」を描いているからこそ、こうやって、時代も異なり、国も異なる読者を魅了できるのだと思います。

 ≪エスカやマーカスやコティアのような人間間のことなら、このへだたりはせばめることができ、そのへだたりを越え互いに触れ合うことができるようになる。そしてそうなれば以前にそのようなへだたりがあったことは問題ではなくなるのだ。≫(「第九軍団のワシ」より)(続く)

*「ケルトの白馬」(ローズマリ・サトクリフ作 灰島かり訳 ほるぷ出版)
*「ケルトの白馬/ケルトのローマの息子」(ローズマリ・サトクリフ作 灰島かり訳 ちくま文庫)
*「第九軍団のワシ」「銀の枝」「辺境のオオカミ」 (ローズマリー・サトクリフ著 猪熊葉子訳 ホッジス挿絵 岩波) 

☆写真上は、スイス ニヨンのカエサル像。下は、テムズ河畔に居た小ぶりで足ががっしりした馬。
≪…マーカスはローマで時々御したアラブの馬たちのことを考えた。この馬たちはアラブの馬たちよりも小さかったーー背丈は掌の幅で計って十四くらいだろう、とマーカスはあたりをつけたーー毛足が長く、体の大きさに比して、そのつくりはがっしりしていた。しかしそれなりに調和がとれていて、全くすばらしい一組だった。…≫(「第九軍団のワシ」より)

うしじゃない馬j

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