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林檎の樹

林檎の木

「林檎の樹」(ゴールズワージー 法村里絵訳 新潮文庫)
ノーベル賞作家の恋愛小説です。薄っぺらいので、電車用。新訳のようです。岩波文庫「りんごの木・人生の小春日和」(ゴールズワージー作 河野一郎訳)も、以前読んだことを忘れ、再読です。

 舞台は、イギリスの田舎。それだけで、うっとり。が、しかし、身勝手な男の保身に、段々腹が立ってくる結末。どこかで、この苛立ちを経験した・・・そうそう、森鴎外の「舞姫」。➡➡歳のせいか、時代のせいか、身勝手な男性のふるまいに、以前読んだときより、過敏に反応してしまいます。

 有閑階級の青年アシャーストが、田舎で美しい乙女ミーガンに出会い、恋をする。乙女も心を寄せてくれ、駆け落ちの段取りのために、青年が、街で彼女の服を調達しようとすると、同じ階級の友人と出会い、その妹たちとも出会い・・・・言い訳がましく、日々を過ごし、結局、美しい乙女のところに戻らず・・・・

確かに、若い恋心を書いているのです。が、将来に対する言い訳と、その後の行動は、いかにも、男性目線であり、男性本位。当時の作家だから?と思うものの、今も、大きく変わっていない、その目線。

ただ、田園の自然描写は、どこもここも 細かく、その場が見えるようで美しい。

≪・・・手前は岩とリンボクの樹と野の花でいっぱいの湿原で、その向こうの少し地面が盛りあがっているところがブナの小さな林になっている。どの枝も風にそよぎ、春の鳥がいっせいにうたい、日射しが草の上にまだらに影を落としていた。アシャーストはギリシャの詩人、テオクリストの牧歌を心に浮かべ、オックスフォードを流れるチャーウェル川*や月に思いを馳せ、潤んだ目の娘を想った。そう、彼は何も考えていないように見えて、様々なことを考えていた。そして、信じがたいほど幸福だった。≫

☆写真は、英国 ケルムスコットマナーの林檎の樹:オックスフォードを流れるテムズ川の上流にあります。上記チャーウェル川*は、オックスフォードで、そのテムズに流れ込む、テムズ川の支流です。

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