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クリスマスの木

ルガーノ10
 「クリスマスの木」(ジュリー・サラモン文 ジル・ウェーバー画 中野恵津子 新潮社)
 この小さな可愛い本を手に取ったのは、1996年(・・・と、邦訳奥付にあります)で、そのあと、「クリスマスツリー」というタイトルになり新潮文庫にもなったようですが、今は、それも手に入らないかもしれません。

 話は、毎年、NYのロックフェラーセンターに飾られるクリスマスツリーの話です。そのクリスマスツリーは、一年かけて探し出され、選ばれ、飾られるのですが、話はその木を探し出す園芸管理部長と、自分と共に生きてきたドイツトウヒ(いわゆるモミの木の一種)と別れるシスター・アンソニーの話です。そのドイツトウヒに名付けられた名前は「トゥーリー」。

 シスター・アンソニーの少女の頃の名前はアンナ。
 アンナが生まれたときに母親が亡くなり、そのあと、父親も亡くなり、おばさんのところから、「子供の家」に、そして、修道院に行くことになります。子ども一人の修道院では、話す相手もなく、その寂しさから、修道院の裏手の木立の中、空き地に飛び出していきます。

 ≪…大きな木に囲まれていました。私だけの秘密の隠れ家みたいで、居心地がよさそうでした。鳥の鳴き声が聞こえるほかは、私しかいませんでした。それでも、誰かに見られているような気がしました。きょろきょろ見まわしましたが、誰もいません。そのとき、空き地の片隅に、何か小さなものが目にとまりました。近づいてみて、笑ってしまいました。何だったと思いますか?それは、小さいくせに、大きな木と同じ形をした木でした。空き地のわきに立っている背の高い常緑樹に、何もかもそっくりにミニチュア版です。サイズはちょうど私ぐらいでした!{ああ、あなた、きれいね!」と、私は声に出して言いました。「さわってもいい?」自信はなかったけれど、その木の枝がほんの少しざわめいたような気がしました。・・・・・(中略)・・・・それから、考えるともなしに、今まで誰にも打ち明けたことのない話をしていました。どんなにお母さんにやお父さんが恋しいか。・・・・(中略)・・・ひとりぼっちで寂しいということも話しました。ひとしきり話しつづけました。それから話をやめて、木の隣に腰をおろしました。私たちはいっしょに温かい日なたで過ごしました。そうして、私はさっきよりずっと気分がよくなりました。≫

 こうやって、シスターアンソニーとトゥリーは出会い、その後ずっと生活を共にします。
 ・・・・そんなに大事な木でしたが、ある日、ロックフェラセンターの園芸管理部長の目に留まり・・・
もちろん、手放すのは、論外だったものの、記録に残る雪嵐の年があり、ドイツトウヒの寿命のことを知り…

 このドイツトウヒの寿命については、明日また。(続く)
☆写真は、スイス ルガーノ・・・・ここは、スイスでも、イタリア語圏で、陽光燦燦の地域です。写真に写るモミの木のような木はドイツトウヒではないと思われます。

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