小さな花や小さな虫、大きな山から、エネルギィをもらいましたが、心地よく吹く風は、一番大事なものでした。
葡萄棚の下で、吹く風も。
アルプスを見渡す山麓で吹く風も。
湖面に吹く風も。
そして、帰国して、今まで余裕がなくて、手元に置いたままだった本たちを読みました。
その1冊「パイパーさんのバス」(エリナー・クライマー作 クルト・ヴィーゼ絵 小宮由訳 徳間書房)
街で一人暮らしのバスの運転手パイパーさんが、動物たちと出会い、バスを購入し、そのバスで、動物たちの住処を探しに出かけ・・・というお話で、中にこんな表現があります。
≪パイパーさんは、毛布を外へもちだして、りんごの木の下にしくと、そのままよこになりました。(犬の)バスターがやってきて、パイパーさんの足もとでまるくなりました。風が、さらさらと木の葉をゆらしています。「こいつは、気持ちがいい!」パイパーさんはそういうと、すぐにねむってしまいました。≫
(承前) 花は好きですが、花に集まる小さい虫たちも嫌いじゃありません。バッタみたいに触ろうとは思いませんが、きれいな「とかげ」を見るのは平気です。「きゃあ」なんて言いません。
スイスで、男前の「トカゲ」を見ました。大抵、シャッターチャンスを逃すのですが、この時は、2枚も撮れました。
陽光サンサン降り注ぐ中、彼は、ぎろっとこちらを見て、行ってしまいました。
ファージョンの「イタリアののぞきめがね」の中の「トカゲ」を思い出しました。
帰国して、読み返したら、トカゲは、もちろん出てきますが、数多くの花々も次々登場しているのを、再発見し、嬉しくなりました。そのお話は「ブリジェットのイタリアの家」です。
≪家まで帰る途中で、みどり色のトカゲが、日にあたろうとして、石がきのすきまから出てくるのにあいました。というのは、月があがったのに、お日さまも、まだ出ていて、みどり色の、イタリアのトカゲは、日なたぼっこがすきだったからです。トカゲは、宝石のように、キラリと光りました。けれども、わたしたちが近くにいるとわかると、トカゲは、あわててにげだして、まるで妖精のように、またべつのすきまにかくれてしまいました。・・・≫
*「イタリアののぞきめがね」(ファージョン作 アーディゾーニ絵 石井桃子訳 岩波)
スイスに行くときの飛行機で、見られたらよかったのに、まだ、日本で公開していなかったので、娘と劇場に行って見たのが、何年か前に見た「マンマ・ミーア」の続編。
前のを見てない人には、ちょっと、わかりにくいと思われますが、ともかく、前のを見た人は、必見だと思われます。3人の父親という秘密が、解き明かされますから。
ママ(メルリ・ストリープ)の出身大学がオックスフォードなので、青い青い海だけでなく、英国オックスフォードも写ります。 これで、今日の写真が、 紺碧の海ではなく、英国の空の下、古い尼僧院の写真だとお分かりになったでしょう。この崩れ落ちた尼僧院の前、つまり、オックスフォード近郊のテムズ河畔で、みんなで踊るシーンがあるのです。➡➡ ⇒⇒(*ただし、映画のセットなのかは、さだかでありませんが・・・)
ともかくも、アバの歌にのせて、みな歌い踊り、楽しい映画でした。改めて、アバの楽曲が、親しみやすく、心に残るメロディと歌詞なのだと思いました。やっぱり、映画を観ながら、♪ふんふん♪口ずさみ、映画館を後にしても、まだ、♪ふんふん♪、足取り軽やかに帰りました。
スイス2018報告は、まだ続くのですが、久しぶりに京都のお稽古に行く前に出かけたのは、京都国立近代美術館でやっていた「生誕110年 東山魁夷展」(~2018年10月8日)。
「本当の『あお』にであう」と添えられているように、綺麗な青を中心に、色で目を楽しませてくれました。ヨーロッパの古都を描いたものもありましたが、この画家は具体的なものより、色彩のイメージを深めていく風景画が得意なのだと思います。
「白夜光」という北欧の旅のあと、描かれたものが、今回の絵画のなかでは、一番印象に残りました。光の取り入れ方が一段と美しいものになっていたと思うのです。
そして、唐招提寺御影堂修理のために、御堂内部にあった東山魁夷の描いた襖絵が再現展示されています。修理のため、ここ数年は見られないという襖絵ーー唐招提寺御影堂障壁画を間近に見るのは、なかなかないチャンスでした。これは、圧巻でした。
襖絵ですから、大きく、表裏に描かれています。その労力たるや・・・と思っていたら構想から10年。しかも67歳のときに第一期完成、72歳のとき第二期完成と解説されていますから、うーん、凄い。
芸術の鑑賞というのは、実物を目の前にした臨場感?空気?が大事な要素だと考えている者にとって、襖絵などは、図録でみても仕方ありません。
それから、どんな鑑賞も、「よかった」「面白かった」「力をもらえた」「楽しかった」等など、様々な感想がありますが、この東山魁夷展は、「綺麗だった」。
昨日の、強烈な台風は、関西方面にも大きな爪痕を残して、またたくまに通っていきました。
電車も、道路も、市井の人々も、準備・留意していても、自然を押さえ込むことはできません。
地震も、豪雨も、洪水も、何もかも、自然の猛威に逆らえない・・・人は、最小限に被害を抑えるために努力するだけ、これからも、ずっと。
スイス ルガーノで二晩続けてみた、雷も、かなりのものでした。ルガーノは、すぐ隣がイタリアで、ミラノやコモ湖にも近いのです。天気予報では、夜に雷雨と出ていましたが、夜中に、突然、雷が鳴り続け、稲光で、空が明るくなりました。落雷の閃光は、まぶしく、次々、イタリア方面に落ちていきます。
もともと、室内で見る雷は怖くないたちで、どのみち、時差ボケで眠れないので、1時間ほども見ていたのですが、ああ、これがローマ神話のジュピター(ユピテル)なんだと、実感しました。天空の神、気象現象、特に雷を司るジュピター(ユピテル)。
イタリア方面に落ち続ける稲妻は、鉄槌を下しているように見えます。天空を怒らせてはいけません。涼しいはずの夏が不安定な気候になっているのを、ジュピターは、怒っていたのか?
ただ、この後滞在した、スイス山岳地方などでは、毎夜のように、満天の星を眺めましたから、ジュピターの怒りはスイスの山までは届いていないかも、ジュピターはやっぱり、イタリア所属?などと、思ったりしました。
☆写真は、スイス ルガーノ モンテブレからみた、市街地とサンサルバトーレ。
写真下、朝起きたら、イタリアの方からサンサルバトーレに朝日が当たっていました。


もともと新規な場所より、慣れたところに行くのが好みです。
また、子どもが小さい頃何度か行った沖縄方面も、台風が来たとしても、せめて1日は楽しめるだろうと、最低3泊していたように、今も、3泊したら、お天気のいい日もあるだろうと、予定を組みます。
加えて、今夏は、さらに 無理せず、弾丸で動き回ることはしませんでした。寄る年波のせいでしょう。
以前なら、拠点の宿泊場所を中心に こことあそこ・・・と一日を十分に活用したものでしたが、今回は、夕方早くには、ホテルに戻り、ゆっくり、ベランダで夕食をとることが多かったです。9時頃まで明るいので、本当にゆっくりできます。
さて、一旦、駅や有名な観光スポットに出かけると、人口世界1の国の人たちが、溢れかえっていました。ほんと、すごーい多い!人口世界2の人たちも多いものの、荷物が多すぎで足枷がついているように見えました。そして、人口では、日本の半分の人口の隣の国の若者もたくさん見かけました。およそ、安全で清潔な国スイスに溢れかえる有色人種の人たちのなかで 日本人は、ほとんど見かけませんでした。
とはいえ、駅や有名な観光スポット、街以外では、日本語もアジアの言葉も聞こえない環境です。
昨年のライン下りのときのように➡➡、何時間も列車や船に乗ってぼぉーっと景色を見、居眠りをしていると、今までの疲れがとれていきました。
☆写真上は、夕陽に染まるモンブラン。下は部屋の大きな窓から見る景色。さながら、額に入った 時々刻々変化する絵のようです。
