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風車小屋だより

ヤギj
(承前)
 「風車小屋だより」(ドーデ―作 桜田佐訳 岩波文庫)も、30年前に購入した文庫ですが、これは、多分絵本の「スガンさんのやぎ」(ドーデ―作 岸田衿子訳 中谷千代子絵 偕成社)から、近づいた文庫だったと思います。
 「スガンさんのやぎ」・・・うーん、これは昔話風とはいえ、結末が子どもの本として、どうなんだ?
 それに、中谷千代子の描くやぎの優しい画風はいいものの、彼女の作品に多い突っ立ったままの登場人物は、物語る絵本として、どうなんだ?などと考えた結果、原作は?と思って読んだのだと思います。

 結果、原作が「おおかみは子やぎに飛びかかって、彼女を食べたのである。」となっているものの、絵本では、「動かなくなった」と書くことで、わかるでしょ、勝手なことしたらどうなるか、狼と何時間も戦ったとしても子ヤギではね・・・・と、直接的な表現で終わっていません。
 あんなに頑張ったのに・・・現実はね・・・・という後味が悪い。まだ、原作の方が、すっきりわかりやすい。これは、昔話にも言えることですね。
***「スガンさんのやぎ」の絵本は西村書店からエリック・バトゥー絵(ときありえ訳)ででも、出ています。こちらは、お話も原作にかなり近く、絵も美しいものの、やっぱり、原作の「はア暁方にゃ、おおかみめ、やぎっ娘を食っちまっただア。」という最後に、ぴったりという絵ではないと思います。

 「風車小屋だより」には、「スガンさんのやぎ」以外にも20以上の短編が入っている文庫本です。モーパッサンやモームのように人生の機微や心理に近づく面白さというより、美しい自然描写とちょっとしたユーモア(エスプリというのか?)を楽しむ短篇集です。

  20余年放置されていたプロヴァンスの風車小屋を買い取って、そこに住み始めたドーデ―。
 パリに住む友人に手紙を書いて「まあ、きいてくれたまえ」と報告する形をとる「風車小屋だより」。
 パリとは違う、自然の美しさに触れ、あるいは、土地の生活に触れ、新鮮な眼差しで書いています。(続く)
 ☆写真は、スイス ミューレンの牧草地

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