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映画「ル・コルビジェとアイリーン」

コルビジェjj
 その映画の原題は、「The Price of Desire」でした。
 邦題は「ル・コルビジェとアイリーン  追憶のヴィラ」。

 ま、邦題は誰の映画かわかりやすいとはいえ、実は、ル・コルビジェとアイリーンという女性の恋愛映画ではないのです。かといって、ル・コルビジェが、主人公というわけでもありません。大枠ではアイリーンと評論家ジャンとの話なのです。評論家ジャンとコルビジェは友人関係にあったようです。

 そして、個人的にまったく知らなかったアイリーン・グレイ。家具デザイナーとして成功し、一時はル・コルビジェの建築とまで言われていた南仏の別荘(E-1027)の建築に携わった女性の心の物語とも言えます。だから、原題のDesireは願いとも言えるし、欲望とも言えます。で、そのPrice 代償、お値段・・・・が、描かれた映画なのでした。映画の冒頭、アイリーン・グレイのチェアのオークション場面から入っていくのは、Price というタイトルから暗示的です。
 つまり、邦題は、近代建築家ル・コルビジェの大きな名前を使ったもので、原題は、映画の本質を表したものだと言えるのです。

 そして、狂言回しのような役割で登場するル・コルビジェは、著名な建築家にしては、凡庸な描かれ方です。確かに、壁に絵を描いたり、建築の発想など、また戦後、その別荘で真剣に仕事をしている様子など、少しはでてくるものの、どうしても、アイリーン・グレイのセンスや着眼に気持ちが行ってしまいます。
 いわば、才能あふれる美女と、最終的には、その別荘の前の海で溺死してしまう普通のおじさんの話にみえてくるのです。

 とはいえ、映像の切り取り方は、従来の建築を変革したともいえる彼等の遺産である機能的ですっきりした作品をイメージしたようで、1シーン1シーン絵画のような映像でできていました。

 実は、偶然にも、この映画が上映されることを知る前に、ル・コルビジェの書いた本を読んでいました。(続く)

☆写真は、スイス ヴェヴェイ ル・コルビジェ「小さな家」の庭からレマン湖を見る。

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