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朝びらき丸 東の海へ

朝びらき丸12j
 ナルニア国物語(C.S.ルイス 瀬田貞二訳 ポーリン・ベインズ絵 岩波)
(承前)
 次々に出る古典的な文学作品の中で、新しい「改訂版 せいめいのれきし」(バージニア・リー・バートン作 いしいももこ訳 まなべまこと監修 岩波)は、科学的新情報だけを盛り込んだ改訂で、原作者の思いから、離れずほっとしましたが、先日、本屋さんの書棚で、ん?と手にとったのが、文庫本、ナルニア国物語の1冊。

 まさか?ナルニアにはもう一冊あった?などと、どきどきしたものの、よーく考えたら、「朝びらき丸 東の海へ」じゃないの!
 文庫のタイトルは、「ドーン・トレッダー号の航海」。確かに、原題はThe Voyage Of The Dawn Treader。
 うーん、訳者には、各自オリジナリティが必要だとは言え・・・

 Dawn Treaderには、「Dawn→夜明け、暁、始まり」「Treader→Tread→歩く、行く、踏み入れる」という深い意味があります。瀬田貞二は、Dawnを朝とし、Treaderを「びらき→ひらく→拓く・開く」としました。原題の深い意味を深くくみ取った日本語タイトルだったのです。

 もちろん、「航海」になんの間違いもありません。が、しかし、イギリスという国の立地を考えたら、東には、大陸があって、実際の大海は、西しか、しかもアイルランド(1922年イギリスから独立)を越えてしか海が広がっていないわけですから、「東の海へ」という言葉には、大きな意味があると思うのです。 つまり、「彼の地」は、実在しない東の海の方向にあるという意味。

 と、いうことで、ナルニア物語が、児童文学ということを考えたら、具体的なイメージに近い瀬田貞二のタイトル命名は、本当によくできていると思うのです。
*新訳の方は、タイトルだけで判断し、内容には目を通していません。あしからず。(続く)
☆写真は、スイス レマン湖 向こうに見えるは、モンブラン

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