みんなみすべくきたすべく

自然はいかに恵み深いことか。

滝6j
 
(承前)
  さて、ゲーテは、三度「スイス徒歩旅行」に出かけています。
 その第一次旅行(1775年)にこんな文と詩が
≪われわれは舟に乗り込み、晴れたある朝に、すばらしい湖の沖合へ漕ぎ出していった。次に挿入する詩から、あの幸福な瞬間の雰囲気がすこしでも伝わってくれればよいと思う。

 新鮮な養分、新しい血を
 私は今や自由闊達な世界から吸収する。
 私を抱きしめてくれる
 自然はいかに恵み深いことか。
 波は乗ってくる小舟を
 櫂の動きに合わせて進める。
 雲のたなびく山々が
 押し迫ってくる。
 
 なぜ目を伏せるのか、
 金色の夢が甦ってくるのか。
 どんなに金色でも、夢よ去れ。
 ここにも愛と生がある。

 波の上がきらきらと
 無数の星のように輝く。
 周囲のはるかな家並みが
 狭霧に飲まれていく。
 朝風がさわやかに
 木陰の岸辺に吹き寄せる。
 湖水には実りつつある果実の
 姿が映っている。≫(続く)
滝7j
*「ゲーテ スイス紀行」(木村直司編・訳 ちくま学芸文庫) 
 

PageTop