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黄金の時刻(とき)の滴り

 水車j
(承前)
 先日来、「黄金の時刻(とき)の滴り」(辻邦生 講談社文芸文庫)を読んだのに、夏目漱石や丸谷才一など本体の周りから書きました。➡➡ ・  ⇒⇒

 辻邦生を読んだら、ついつい、そこから派生する文学や絵画、音楽にも惹かれます。

 この「黄金の時刻の滴り」は、かつて読んだ「楽興の時十二章」(音楽之友社)や「十二の肖像画による十二の物語」「十二の風景画への十二の旅」(文藝春秋)(今は「風の琴-二十四の絵の物語」PHP「「風の音」文春文庫)などなどと同じように、一つ一つの独立した短編のオムニバス形式の作品となっています。
 そして、辻邦生は、これらの形をパロディとし、≪〈物語〉の構造、面白さ、楽しさを純粋化する装置のようなものである。≫(「あとがき」より)としてます。
 「黄金の時刻の滴り」は音楽や絵画のオムニバスではなく、架空の若い物書きや、文を書こうとする人が、実在の作家の創作への思いに迫ろうとする試みです。
 実際の名前こそ出てきませんが、その作家をよく読んだ人には、その章の主人公はどの作家なのか、推察できるということです。
 
 トーマス・マン、ヘミングウェイ、サマセット・モーム、カフカ、エミリ・ディキンスン、スタンダール、ゲーテ、チェーホフ、リルケ、ヴァージニア・ウルフ、トルストイ、夏目金之助(漱石)。それぞれの章初めに、オマージュを捧げるかのように、作品から一文を掲載しているので、各作家が誰をモデルにしたかは、わかりますからご心配なく。

 とはいえ、各作家の作品しっかり読んでないので、その章題は、どこにつながっているのかは、あるいは、辻邦生のイメージだけから生み出されたものなのか、恥ずかしながらよくわかりませんでした。
 唯一、きっとこれね。とわかったのが夏目漱石の章「野分のあと」だけでした。漱石の短編に「野分」というのがありますから・・・(続く)

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