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みんなみすべくきたすべく

あな糸がたりぬ

グロースター2j
(承前)
 ビアトリクス・ポター「グロースターの仕たて屋」(1903)(石井桃子訳 福音館)は、ポターのお気に入りの絵本だったといいます。
 
 グロースター近郊に住むいとこを訪ねた時に、実話に基づいて書かれた作品です。事実は、仕立て屋さんの弟子二人がこっそり仕上げたらしいのですが、それを小さなねずみが仕上げたことに、しかも、動物たちが口がきけるというクリスマス・イブに設定し、不思議な楽しいお話にしています。
 働き者でおしゃれなねずみは可愛いし、悔い改め、神妙にしている猫のシンプキンもいい。
 また、中には、たくさんのわらべ歌も入っていて、ねずみたちが、針仕事をしている臨場感も伝わってきます。

グロースター7j

 ≪・・・けれども、しごとだいの上には―ああ、なんということだろう!仕たて屋は、大きなこえでさけんだ。仕たて屋が 裁ったばかりの きぬのきれを ならべておいたところにーまことに まことに うつくしい上着と、ししゅうのついた サテンのチョッキが おいてあったのだ。いままでグロースターの、どの市長どのも きたことがなかったような 上着とチョッキが。上着のえりや そでのふちには、ばらとパンジーの花がししゅうされ、チョッキは けしと やぐるま草で かざられていた。なにもかも きちんと仕たてあげられ、ただ べにいろのボタン・ホール ひとつだけが かがられずに のこっていた。そして、そのボタン・ホールのあるべきところに、小さなかみが とめられて、とても とても小さな文字で、 「あな糸が たりぬ」 と かいてあった。…≫
(続く)
           グロースター4j

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