

(承前)
岩波現代文庫に加わった石井桃子のもう一冊を。
この本は、カ・リ・リ・ロにとって、読書と現実の世界をつなげた指南書であり、旅の原点となった一冊です。
「児童文学の旅」(石井桃子 岩波)です。
この本を読んだから、ファージョンのお話の舞台を訪ねて英国サセックスの各所廻りました。そして、プーの森やピーター・ラビットの湖水地方・・・もちろん、サトクリフの物語の舞台には数々訪問・・・・と、イギリス行きは、ほとんどが児童文学がらみ・・・アーサー王も、ランサムも、グリーンノウも、ピアスもアリスも・・・ついでに、ディケンズやオースティンまでも。そして、絵本がらみで、深みにはまり、英国近代絵画まで。うぇーい。
この本に教えられたことは数々あれど、一番の収穫は、イギリスには、未だ、物語の世界のままの村や、庭や、道や、建物があるということでした。石井桃子がサセックスに行ったのは、1972年。石井桃子は、アイリーン・コルウェルを介して、サトクリフと会うのですが、そのときの会話、
≪あのハイ・ストリートをずっといくと、『白鹿屋」の側に、白いペンキ塗りにピンクのドアのついた、人形の家のようなかわいい家があるけど、気がついた?≫
・・・という、その人形の家みたいな家は、カ・リ・リ・ロが行った1997年にもありました。
そんな「児童文学の旅 石井桃子コレクションⅣ」の岩波現代文庫版の表紙は、「旅の絵本」(福音館)の安野光雅です。
今回使わせていただいているルイスの写真は、「児童文学の旅」(岩波 1981年第1刷)P200の写真とほとんど変わっていない2013年9月の写真。手前がルイス城の城門、向こうの山が、エルシーピドックが縄跳びをしたケーバーン山。(撮影:&CO.Ak)

