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みんなみすべくきたすべく

ケストナーの人生処方詩集

     ルチェルンj
(承前)
「人生処方詩集」(エーリヒ・ケストナー作 小松太郎訳 岩波文庫)
 ドイツで焚書されて以来、ドイツでは出版されなかったこの詩集もスイスで自選詩集「エーリヒ・ケストナー博士の抒情的家庭薬局」として出版され、その初版の訳が、この「人生処方詩集」であると、訳者あとがきにあります。

 処方された詩の多くには、何らかの皮肉やメッセージが見え隠れして、ちょっと苦い薬の処方詩のような気がします。
 が、中には、「待ちかねた春が来た」のような詩も・・・
≪なるほど そうだ 春が来ているのだ    
木々は だらりと 枝を垂れ 窓は おどろいている   
空気はやわらかい まるで 綿毛でできているよう
そして ほかのことは みんな どうでもいい
(中略)・・・・・・
よろしく また 散歩にでるべしだ
青も 赤も 緑も すっかり 色があせてしまった
春だ 地上が 新規に 塗りかえられるのだ
人間は ほほえむ おたがいが 理解しあうまで
(後略)・・・・≫

そして、月給をとる身分になった彼が母親と旅に出た時の詩「ひとり者の旅」は、母親との良好な関係が楽しい詩です。
≪ぼくは 母と 旅行をしている・・・
ぼくらは フランクフルト バーゼル ベルンをとおり
ジュネーブ湖に来た それから そのへんをひと回りした
ときどき 母は 物価をののしった
今 ぼくらは ルチェルンに来ている

スイスはきれいだ ひとは それになれなければならない
ひとは 山々に登り 湖水をわたる
あまりに美しいので ときどき お腹が痛くなる
(中・後略)・・・・・・・・・≫
(続く)
☆写真は、スイス ルチェルン 右奥の山はリギ山

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