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みんなみすべくきたすべく

だれだっていつまでも子どもでいられるわけではありません。

       イヴォアールj
(承前)
 「五月三十五日」(エーリヒ・ケストナー 高橋健二訳 岩波)の巻末には、「叙情的家庭薬局詩集」から、いくつかの詩が掲載されています。
 この「叙情的家庭薬局詩集」⇒⇒「人生処方詩集」(小松太郎訳 岩波文庫)こそが、ナチスに焚書されながらも、スイスで自選詩集として出版され、今も生きるものです。

 「五月三十五日」の訳者高橋健二のあとがきによると、
≪人間の社会をよりよくするために、一番大切なのは、人間が子どもの心をなくさないことだと、ケストナーは繰り返し訴えています。≫≪「悪い醜い大人も、子どもの時は、非の打ちどころがなかった」のだからです。≫≪しかし、だれだっていつまでも子どもでいられるわけではありません。ケストナーは、大人を反省させ、子どもの頃を思い出せ、よりよい世の中に協力させようとします。また、大人を慰め、励まそうとします。それで、ケストナーは自分の詩を、お薬のように役に立つ実用詩と呼んでいます。そして「叙情的家庭薬局」という詩集を作っています。それを開けてみると、「貧乏にあったら」これこれの詩を読みなさい、という具合に「さびしさがつらくなったら」、「お金がなくなったら」「うちが恋しくなったら」、「おかあさんを思い出したら」、「自信がぐらついたら」、「お天気がわるかったら」というような見出しがついています。・・・・≫

 そして、巻末、最後に掲載されている警句が、「道徳」というタイトルのこれ。
≪よいことなんて、世の中にはない。よいことをおこなうことがあるだけだ。≫(続く)
☆写真は、レマン湖フランス側イヴォアールの教会

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