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みんなみすべくきたすべく

えっ

         庚申j
(承前)
 残念ながら、かの受験勉強ではちっとも身につかなかった古文や古文の文法でしたが、 「日本語で一番大事なもの」(大野晋 丸谷才一 中公文庫)を読むと、それらが、少しわかったような気になるから不思議でした。

 この本の中で大野晋という国語学者と丸谷才一という幅広すぎる博学者ー作家であり翻訳家であり、さらに稀代の対談者が、楽しそうに対談する様子は、そばで聞いているかのように臨場感がありました。

 この対談は「日本語の世界」という全集の月報だったものをまとめたとあります。本体の全集より月報を楽しみにしていた人もいるかもしれないと思えるほど、二人は、生き生きと日本語に迫っていきます。
 よくできる学生が、今日こそは先生に切り込むぞという姿勢を感じます。もちろん、先生は大きな心で、よく勉強してきた若い学生を受けとめ、指導します。が、基本的には、直属の師弟関係のようで、意見がよく合うから面白い。例えば、二人は、鴎外の古典知識をくさし、一葉の古文は美しく正確であるとします。…鴎外のことを、こんなふうに言える人たちもいるんだ・・・

 昨日 までの「主格の助詞はなかった」の章も面白かったですが、「感動詞アイウエオ」の章で、エで始まる言葉のことを、≪日本語の一番古い時代には、エ、ケ、セ、テ、ネ、ヘ、メ、エ、レ、エの音で始まる言葉はほとんどなかった。その意味で新しいーといいましても2000年以上も前のことですがーーーーー 音ですし、後になってもエケセテネ・・・の音は少ないんですね。ですから、エ列音で始まる言葉は概して、いい意味をもたないんです。例えば・・・≫と、解説していくところも面白かったです。

 ・・・・と、この興味深いエの項ですが、よくできる学生の立場であった丸谷才一は、ここで学んだことを「日本語相談」という文で活かします。*この「日本語相談」は「膝を打つ」(丸谷才一エッセイ傑作選2 文春文庫)に収録。

この文庫本「日本語で一番大事なもの」は、改版され2016年12月に新たに書店に平積みされたおかげで、目に留まりました。
改版前の解説者が大岡信、改版後の解説者は金田一秀穂。(続く)
☆写真は、東京椿山荘 庚申像
 

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