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文学と絵画への旅

     船j
(承前)
 「ゴッホとモーパッサンー文学と絵画への旅」(皆美社)で、清水正和は、レンブラント→フェルメール=ゾラ→モーパッサンの系譜の類比を愉快だと言い、
≪レンブラントとゾラは、ゴッホにとり巨大な師ではあるが、色彩としては重厚な暗褐色といったところか。だが、この二人の継承者フェルメールとモーパッサンは、明るく魅惑的な色彩の画家であり、小説家、そういう認識に基づく類推っであることは、まずまちがいないだろう。なにはともあれ、フェルメールの澄んだ「青」と「黄」が、ゴッホを魅惑してやまない色となったようだ。アルルに来てからも、たびたびフェルメールの色に言及しているのである。≫と、続けている。

また、ゴッホの手紙には、
≪ここ(プロヴァンス)の自然は異常なほど美しい。どこもかも空の円盤はすばらしい青で、太陽は硫黄色の光線を放ち、まるでデルフトのファン・デル・メール(フェルメールのこと)の絵にある空色と黄色の配合のように、柔らかく魅惑的だ。あの絵ほど美しくは描けないけれど、ぼくは夢中になってしまって、筆のまにまに理屈なども考えてはいられない。≫とあり、
この手紙を見ている限り、ポジティブで制作意欲に満ち溢れるゴッホが見えてきて、それが、しかも、カ・リ・リ・ロが個人的に好むフェルメールの色彩と重なってきて、こちらまでワクワクしてきます。

 いつもは、画家の描いた作品だけを楽しむのが、その奥にある画家本人の制作意欲にも触れられるのは、ありがたいことです。

 そしてまた、この論考には、
≪モーパッサンは、たった10年の間に7つの長編と400を超すといわれる中・短編を書き、ゴッホはわずか4年半(パリ・アルル・サン・レミ・オーヴェール)で、数百点描いた≫とあり、モーパッサンの強力な磁力がゴッホという繊細な磁力を引き寄せたのがわかります。

 清水正和の「ゴッホとモーパッサン」の副題「文学と絵画への旅」・・・・なんと、奥の深い魅力的なタイトルなのでしょう。
☆写真は、スイス モルジュ
 

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