FC2ブログ
 

みんなみすべくきたすべく

ウェールズのクリスマスの想い出

       ディランj
 2016年のノーベル文学賞は、ボブ・ディランでした。(なにかと、話題に事欠きません)
 ボブ・ディランの歌は、「風に吹かれて」のほかをたくさん知るわけではありませんが、今回の受賞理由などを見ると、彼は、ずっと詩作を続け、歌い、支持されてきたことに栄誉が与えられたようなので、よかったと思います。途中、「小説も書かない人間がもらうなんておかしい」と言った小説家やなんやかや居たようですが、悪いけど、詩のほうがずっと古くからあったんだし、本という形になる前から、印刷される前から、人の口に乗って伝わて来たんだし・・・・

 ・・・・と、ボブ・ディランのことが書きたいのではなく、ボブ・ディランが敬愛して、その名をもらったという詩人ディラン・トマスの唯一の絵本「ウェールズのクリスマスの想い出」(ディラン・トマス文 エドワード・アーディゾーニ絵 村岡美枝訳 松浦直己監修 瑞雲舎)です。
 アーディゾーニの描く少年たちは生き生きとしています。

 それぞれのエピソードは、短く、断片をつなげて語っています。時折、ほらを交えながら、食べ物を思い出しながら。
 また、タイトルに「ウェールズの・・」とあるように、英国といっても、ウェールズ地方の意地も垣間見えます。もしかしたら、ボブ・ディランも、こんな意地、いえ、誇り高き詩人のスピリットが好みだったのかも?

≪もうずっとずっと昔のこと、ぼくが子どもの頃の話さ。その頃ウェールズにはオオカミがでたものだった。赤いフランネルのペチコート色の鳥たちが、ハープの形をした低い山々をかすめて飛んだりしていた。その頃ぼくらは夜も昼も、ほら穴の中で歌ったリ転げ回ったりして遊んだんだ。そのほら穴はね、日曜日の午後に農家の居間にたちこめているような湿った匂いがした。子牛のあご骨を手にもって、イングランド人や熊を追い駆け回したりもした。それは自動車もなければ、自転車もなく、公爵夫人のような顔をした馬車馬なんかもない頃の話さ。ぼくらは裸馬の背にまたがり、浮かれ騒いで丘をめぐっていた。あの頃もクリスマスといえば、しきりに雪が降っていた。・・・・≫

PageTop