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みんなみすべくきたすべく

厚塗り

ゴッホ3j
(承前)
 ゴッホと言えば、絵の具の厚塗りのイメージが強いものの、今回並んでいたアドルフ=ジョセフ=トマ・モンティセリの「井戸端の女」には、負けそうです。ですが、かなりの影響を受けています。

 それは、「ファン・ゴッホ書簡全集」(二見史郎訳 みすず書房)を引用する、清水正和「フランス近代芸術ーー絵画と文学の対話」(小沢書店)にありました。
≪昨日、日没に石のごろごろしたヒースの荒地に居た。曲がりくねった小さな柏が生え、背景には丘の上の廃墟、谷間には麦畑があった。願ってもないモンティセリ風でロマンチックだった。太陽は灌木とやぶと真っ黄の光をそそぎ、まるで金の雨そのものだった。線という線がいずれも美しく、すべてのものに可憐な高貴さがあった。(・・・・)不意に老いたプロヴァンスの吟遊詩人の声がきこえても何のふしぎもなかったろう。地面は紫に見え、遠方は青かった。(508信)≫

≪最近の習作はほんとに絵の具を厚塗りにして流しこんだようなものだ。しらずしらずモンティセリのように厚塗りをしているのだ。ぼくはじっさい彼の仕事をつづけているんだとおもうことがよくある。(541信)≫

≪モンティセリは、黄色とオレンジと硫黄色を縦横に駆使して南仏を描いた画家だ。大部分の画家は、本来の意味では、色彩画家ではないために南仏にこういう色があるのを見ず、かれらと違った眼で見ると、その画家を気狂いだと呼ぶ。もちろんこんなことはとっくに予見できることだ。だからぼく自身もすでに黄色をふんだんに使って、ヒマワリの絵を一点描き上げた。(黄色い背景で、黄色い瓶に入った14本のひまわりの絵で、青緑の背景に1,2本描いた前の絵とは全く違ったものだ。(W8信:妹ウィレミーン宛)≫

 おお、かの「ひまわり」に行きついたぞ!手紙にある14本じゃなくて15本描かれているけど・・・ それに、この黄色は同じオランダ人フェルメールにもつながると、後段に書いてある。
  (後日「ゴッホとモーパッサン」に続く)

☆写真は、ゴッホ「少尉ミリエ」(1888 クレラー・ミュラー美術館 画集「ゴッホ」岩波)の厚塗り部分の上に、ゴッホ1889年作の「ひまわり」(ファン・ゴッホ美術館)の絵葉書置いてます。11月23日ブログに使ったゴッホ「ひまわり」の絵はロンドン・ナショナルギャラリーのもので、1888年ゴーギャンとの暮らしを待ちわびている頃に描かれ、上記手紙にある作品のようです。1888年末にはゴーギャンと決別し耳を切る事件を起こしますから、このひまわりの絵、似てるけど、ちょっと違う。

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