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みんなみすべくきたすべく

ジムの成長

     ワイエス2j
(承前)
 今回、読んだ中に「宝島」(スティーヴンスン作 阿部知二訳 岩波文庫 1963)がありますが、巻末には、スティーヴンスン自身の書いた「私の第一作――宝島」【「アイドラー」誌1894年8月所蔵)】も、掲載されています。

 そこには、どうやって、宝島の話の構想が生まれたか、いかに話が進行していったか、その作品を、最初に楽しんでいたのは誰か・・・など、「宝島」誕生秘話が書かれています。

 「宝島」の魅力の一つに、登場人物の個性が際立っていて、わかりやすいという点があるとおもいます。特に、片足のジョン・シルバーの言動には、ハラハラドキドキさせられます。
 それには、作者が、ジョン・シルバーから一切の善美な性質や高雅な情操をうばい取り、≪ただ彼の力強さ、豪胆さ、敏捷さ、そしてその堂々たる太っ腹、それらのものだけを付与しおき、それらを荒くれた船乗り稼業の言葉によって表現することにしよう。・・・≫と、ありました。

 つまり、スティーヴンソンは、初めから、ジョン・シルバーの荒くれた言葉を意識し、物語を作ったということです。と、いうことは、翻訳するにあたっても、そのがらの悪い言葉が、流れるように出てくる「宝島」の翻訳が、作者の思いに即しているということだと思います。

☆写真左は、ジム少年が・ジョン・シルバーと居るところ。右は、ジムがイズレイル・ハンズと向かい合っているところです。この緊迫したシーンのあと、どうなるかは、おわかりでしょうが、この時のジムは、すでに大人に成長しているということが、左の絵と比べると、よくわかります。ハンズとの一件は、ジムを大きく成長させた一件だからです。
(左は「宝島」N.C.ワイエス画の原書。 右は『アメリカン・ヴィジョン』というワイエス三代にわたる画家の画集です。リブロポート刊)

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