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みんなみすべくきたすべく

自由、が随筆の生命

ねこj
(承前)
 さて、ここでは、斎藤美奈子の「文庫解説を読む」(岩波「図書」連載中)というわけではありませんが、「日本近代随筆選」三巻の編者 千葉俊二・宗像和重・長谷川郁夫が、それぞれ巻末に解説を寄せているのに、少し着目。

 「第三巻3思い出の扉」の長谷川郁夫の解説に、「随筆を読む喜び、また書く喜び」を書いた箇所があります。
≪随筆を読む喜びは、作者の存在に直かに触れるところにある。文は人なり、というが、随筆ほど作者の息遣い、そして体温まで感じさせてくれる文学形式はない。書き手もまた、読者の耳にそっと囁くような親愛感を抱くことだろうと推察させる。≫

――そうかぁ。だからですね。読者の耳にそっと囁かないような文には親愛感を抱かないってことですね。ということは、それ以上、読むのをやめたりするのは、土足で踏み込んでくるような文への警戒心ということでしょうか。

≪知られる通り、随筆は日本文学の古くからの伝統の一つであり、「枕草子」「徒然草」「方丈記」などは誰れの頭にもすぐ思い浮ぶ。やがて貴族や僧侶、武士などの知識階層の専有から離れ、、江戸時代の随筆ブームは読み手も書き手も広く民間まで及んだ。自由、が随筆の生命なのである。しかし、近代の随筆は「枕草子」や「徒然草」の流れ、あるいは江戸期の考証随筆とも趣きを異とする。明治になって西洋文学の洗礼を浴びたからである。そして、随筆が親しまれる文学形式として生まれ更るためには、そレから4半世紀以上の時を必要としたのだった。≫(続く)

「日本近代随筆選 3 思い出の扉」(千葉俊二・長谷川郁夫・宗像和重編 岩波文庫)
☆写真は、スイス ヴェヴェイのウィンドー中

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