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みんなみすべくきたすべく

涼しき隠れ家

        バーンズリーハウスj
 (承前)
 「日本近代随筆選 2大地の声」に林芙美子「涼しき隠れ家」という一文があります。
それは、≪亡くなったムシュウ・ド・ノワイユ夫人の詩の一節に・・・≫と始まります。

――ん?ムシュウ・ド・ノワイユ夫人?誰?――

 この「涼しき隠れ家」という文のイメージの源泉は、ムシュウ・ド・ノワイユ夫人の詩からです。
――ムシュウ・ド・ノワイユ夫人の詩?――

林芙美子は、随所に詩を引用しながら文を続けます。
≪私は窓を開けてみる。夜明け近くなると、もう小鳥達は起きる支度なぞをして、書斎の軒下でピチピチおしゃべりしているのだ。私の窓の下には隣家からアカシアの大きな樹がのびあがってきている。雨が降ると、夜中ザワザワと濡れていて、たった一人起きて仕事をしている私と相似た姿に思え、私は洋灯を窓近くさしよせて、雨に濡れている夜の樹の姿をのぞいても見るのだ。仲々甘いとも考えるが。    この甘さや情熱はひどく高価だ。・・・≫

 林芙美子は、「涼しき隠れ家」という言葉の持つ、広い心情を、うらやましく思い、一人になりたい生活にあこがれています。

 カ・リ・リ・ロ自身は、共感できる一文に出会えることも読書の楽しみだと思いながら――ムシュウ・ド・ノワイユ夫人の詩?――と、探してみました。(続く)
☆写真は、英国バーンズリーハウス庭。

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