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戦争を呪い、その愚かさを強調する

五月の薔薇2j
(承前) 
 モーパッサンは岩波文庫に、高山鉄男訳の「脂肪の塊」「モーパッサン短編集」もあります。その二冊には、挿絵・カットも入っています。特に「脂肪の塊」の方は、短い話の中に何枚かの絵(ピエール・ファルケ画)が入っていて、もとの本は、さぞや美しかっただろうなどと想像します。個人的には、挿絵なしの新潮文庫で十分楽しめましたが。

さて、岩波文庫「脂肪の塊」のあとがきには、≪戦争を呪い、その愚かさを強調する≫モーパッサンの文章の一例が挙げられています。「戦争」と題された時評の一部です。

≪人食い人種が話題になると、これらの野蛮人よりも、われわれのほうがはるかにすぐれていると公言して、得意そうに笑ったりする。しかし本当の野蛮人とは誰のことだろう。負かした相手を食うために戦う人間だろうか。それとも、殺すため、ただ殺すためにだけ戦う人間だろうか。≫

 短編集ということで、長編に挑むというより、ずいぶん、気楽に読んだはずの、新潮社「モーパッサン短編集Ⅰ~Ⅲ」でしたが、その短い話の数々には、凝縮された人間の性(さが)が描かれ、文学の奥深さを、再認識した次第です。

「モーパッサン短編集 Ⅰ~Ⅲ」(青柳瑞穂:新潮文庫) 

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