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信貴山縁起絵巻

信貴山j
(承前)
 奈良国立博物館の「信貴山縁起絵巻―朝護孫子寺と毘沙門天王信仰の至宝」(~2016年5月22日)では、
ゆっくり「信貴山縁起絵巻全三巻」を、眺められたので、そのお話も楽しめました。
 
 第一巻「山崎長者巻(やまざきちょうじゃのまき)」は、神通力をつけた命蓮上人が、長者の家から米俵を詰めた倉を鉢に乗せて信貴山まで飛ばすのですが、返してほしいと懇願する長者に倉は返さず、米俵を再び空を飛ばして返す話。(上の写真、右が空飛ぶ米俵)

 第二巻「延喜加治巻(えんぎかじのまき)」は、病気平癒祈願をする醍醐天皇が命蓮上人の力に頼り、病が治るという話。命蓮は信貴山で祈祷し、その証拠に「剣の護法」を遣わせるというもの。(上の写真、左が、その救世主「剣の護法」)
 
 第三巻「尼君巻(あまぎみのまき)」は、長い間、行方の知れなかった命蓮を探しに出た姉の尼君が、信濃から奈良までやってきて、消息だけでも知りたいと東大寺大仏の前でお祈りすると、夢で信貴山までの道が示され、めでたく姉と弟は再開し、二人して修業に励むという話。

 絵巻に描かれている人たち一人一人、生き生きとしていて、躍動感があります。そして、時の流れを一枚の巻物に描く絵巻きは、「物語る絵」の本家本元です。

 国宝と、子どもたちが楽しむ絵本を並べるのは、研究者や学芸員には、論外のことと思えることでしょう。が、しかし、今や大量生産品となった絵本も、古い時代の絵巻きも、絵が物語ることによって、話がわかるという点は同じだと思います。字の読めない子どもや字の読めなかった昔の人が見たとしても、絵が生き生きと話を進める。
 ああ、楽しかったと絵本を閉じ、ああ、楽しかったと絵巻の前を離れる・・・カ・リ・リ・ロには同じ時間の流れでした。
 
☆写真は「大絵巻展」(2006年 京都国立博物館)のときの図録

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