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みんなみすべくきたすべく

中編小説部門

ローストビーフj
 (承前)
 堀口大學の訳に惹かれてから、堀口大學の生涯も読み(大著なので、読了したものの、まだ書けてない)・・・しているうちに、ちょっと、訳本の見方が変わってきました。

 今まで読めなかった翻訳本を読める訳で読んでみる、違う文庫本で読んでみる、あるいは、再読してみる・・・そんな一冊が、モーパッサンの中編小説「脂肪の塊」でした。(新潮文庫)
 訳者は、堀口大學の後に続いた青柳瑞穂です。(ピアニスト青柳いずみ子の祖父)
 一言でいうなら、面白かった!これまた、早々にカ・リ・リ・ロ的「2016年 中編部門」1位なのです。

 ひどい「奴ら」と「脂肪の塊」と呼ばれる女性の対比。最後の啜り泣きは、そのシーンが目に見えるよう、聞こえるよう。読んでいて、胸がつまります。
 食べ物で盛り上げるのがフランスっぽい。
 鼻持ちならない「奴ら」を書くのがうまいフランス文学。

 訳者青柳瑞穂解説によると、≪中編小説(ヌーヴェル)というのは、短編(コント)のように、きちんと、まとまっていず、そうかといって長編(ロマン)のように堂々たる骨格もなく、どっちつかずの、締りの無いところのあるものである。・・・(中略)・・・ところが、この「脂肪の塊」「テリエ館」だけは例外で、始めから終りまで、読者を楽しませ、喜ばせて、倦ませるところがない。構想それ自身が、すでに独創的で面白い上に、細部にわたっても、作者の驚くべき注意力が行き届き、文章の妙と相俟って、それからそれへと小さな当て場を見せてくれる。けだし、モーパッサンとしても、時間と努力を充分にかけ、心血を注いだ証拠であろう。≫(続く)

*「脂肪の塊・テリエ館」(モーパッサン 青柳瑞穂訳 新潮文庫)
☆写真は、スイスのホテルの日替わりハーフボードのスターター。こんな、ようさん食べられへん。
  

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