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椿姫

つばきj
(承前)
 次は、 「椿姫」 (デュマ・フィス作 吉村正一郎訳 岩波文庫)。

 原作は、あの「乾杯の歌」の華やかなメロディからイメージするよりも、ずいぶん、暗く切ない。
 公爵の庇護下とはいえ、男性の出入りも多い絶世の美女、娼婦マルグリット。その彼女に惚れた青年アルマン。純愛を貫こうとすると無理が生まれ、結局、後悔だけが残る結果に。

 読みやすく、娯楽性に富んだ読み物として、今まで支持されてきたのがわかります。翻訳も版を重ね続けていますから。
 今読むと、ストーカーじゃないの?と思うような素行もありだし、嫉妬深いのが、女性というより、若い男性の方だし。
 ともあれ、働かずして、生きていける人たちが居た時代。容貌を武器にせざるを得なかった娼婦たち。

 したたかな女性に振り回される骨抜き男性の登場無くては、「カルメン」も「椿姫」もないのですが、「カルメン」が力強く骨太な感じがするのに対し、少々、女々しいのが「椿姫」。
 「カルメン」の作者のメリメが考古学者で政治家になったような背景と、偉大な父デュマの息子で、出生に負い目を感じていた作者の背景がもたらした違いでしょうか。

 さて、「椿姫」で、青年アルマンがいかにして、マルグリットに出会い、別れたかを語るきっかけになるのが、マルグリットが亡き後に残った、アルマンのサイン入りの本「マノン・レスコー」(アベ・ブレボォ 青柳瑞穂訳 新潮文庫)でした。(続く)

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