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美は孤独な崇拝者を愛する

       人魚後ろj
(承前)
 「幸福な王子ーワイルド童話全集」(西村考次訳 新潮文庫)の「若い王」の中にこんな言葉があります。
≪芸術の秘密は秘密のうちにもっともよく習得されるものであり、美は、知恵と同じように、孤独な崇拝者を愛するものである。≫
 うーん、難解。

 同じく「若い王」から、
≪  しばらくすると、王は席から立ちあがり、彫刻した煙突の付属部にもたれながら、ほのかに明りのついた部屋を見まわしました。美の勝利を表わす豪奢な綴れ織りが壁にかかっています。瑪瑙と瑠璃玉をはめこんだ、大きな戸棚が、一隅を占めており、粉をふりかけてモザイク造りにした金の、漆を塗った羽目板づきの奇妙な作りの飾り棚が、窓に面して立っていて、その上には、ヴェネチア硝子の精巧な台つきの杯と、黒い縞のはいった瑪瑙のコップがのっています。青白い罌粟(けし)が、眠りの疲れた手からでも落ちたかのように、寝台の絹の掛布団に刺繍してあり、縦溝彫りの象牙の高い平刳形が、びろうどの天蓋を支えており、その天蓋からは駝鳥の羽毛の大きな房が、白い泡みたいに、格子細工になった天井まで飛び出しています。笑っている青銅のナルシスが、磨きたてた鏡を頭上にのせています。卓上には紫水晶の平たい鉢が置いてあります。   屋外には……≫

 と、まあ、細かい描写。この宝石と刺繍に関する描写は、長編小説「ドリアン・グレイの肖像」でさらにパワーアップして、延々と書き綴られているところがあり、ワイルドが、調度や宝石や衣装、布、刺繍に目がくらんで、心惹かれているのがよくわかります。

 そして、ワイルドの晩年を思うと、美の崇拝者ワイルドは、美に振り回され、結果、支配されてしまったのかもしれません。
 それは、「美」という概念と、贅沢やら、快楽やらの概念がごちゃまぜになってしまった結果???(続く)

☆写真は、スイス オーバーホーヘン城 昨日の人魚の飾り物を後ろから撮っています。

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