FC2ブログ
 

みんなみすべくきたすべく

ウィンダミア卿夫人の扇

     扇j
(承前)
 「ウィンダミア卿夫人の扇」は、これを原作とした映画が10年程前にあったとき、原作「ウィンダミア卿夫人の扇」(オスカー・ワイルド 厨川圭子訳 岩波文庫) を買ったものの、映画も行かず、結局、読まずに本棚の奥深く眠っておりました。

 今回「アーサー・サヴィル卿の犯罪ー義務の研究」に、ウィンダミア卿夫人最後の招宴が最初の舞台となっているので、「ウィンダミア卿夫人の扇」もと思って読んでみましたが。違うウィンダミア卿夫人でした。
 というのも、「ウィンダミア卿夫人の扇」の夫人には、子どもが居るのですが、「アーサー・サヴィル卿の犯罪」の夫人は、子どもがいないと書かれています。

 ワイルド自身が、英国湖水地方ウィンダミア湖の別荘に出かけ、ウィンダミアという名前を気にいっていて、一気にこの「ウィンダミア卿夫人の扇」を書き上げたといいます。
 確かに一気に書き上げられた勢いがあります。当時、大ヒットした舞台だというのも納得がいきます。軽妙洒脱、言葉のやりとりが生き生きしています。
 ちょっとしたすれ違い、ちょっとした誤解・・・これは、英国自慢のシェイクスピアと同じ流れです。人生のささいな行き違いを、巧みな構成で、あっと言わせ、莢に納める。たった24時間の男女の心の動きを、軽さあり、重さありで読ませてくれます。台詞の妙があり、小道具の妙があり。

 「扇」という美しく豪華な小道具が、開かれ、そして、閉じられるのも、また楽し。(続く)

*「ウィンダミア卿夫人の扇」(オスカー・ワイルド 厨川圭子訳 岩波文庫)
*「サロメ/ウィンダミア卿夫人の扇」(オスカー・ワイルド 西村孝次訳 新潮文庫 )

PageTop