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みんなみすべくきたすべく

バッカスにミューズが刺激される

         葡萄バッカスj
(承前)
 それで、「父の形見草ー堀口大學とわたし」(堀口すみれ子 文化出版局)も読みました。
 家庭人堀口大學の、甘い甘い姿が見えてきます。
 もちろん、その父を尊敬し慕ってやまない娘もそこに居ます。

 少々、破天荒な生き方をする芸術家・文筆家の多い中、若い頃はともかくも、独身の頃はともかくも、少なくとも、ずいぶん歳の離れた女性と結婚した後は、家庭を大事にしていた姿が見えます。内に籠って、ナイーブで、どちらかというと暗い詩人ではなく、本人は前向きで、明るい。

 とても素敵なエピソードが「父の晩酌」に書かれていました。
≪・・・飲みすぎて気分が悪くなったり、乱れたりした父を一度も見たことがありません。電熱器に鉄びんをかけて、自分で好みの燗をつけ、ゆっくり時間をかけて楽しみます。必ず日本酒ですが、その前にビールやワイン、シャンパンを抜くこともありました。盃を片手に、じっとうつむき、「ああ、まわる、まわる、五臓六腑にしみわたる。」と勤勉な一日のすべての苦労からときはなされた、解放のひとときだったのでしょう。時々、何か口の中でひとり言をくり返していたかと思うと、「ちょっと待っていてね、君たち続けていなさい」と二階へ上がってしまいます。しばらくして降りてくると詩が一篇できあがっていて、読んで聞かせてくれるのでした。バッカスにミューズが刺激されるのでしょうか。≫

 うーん、こんな素敵な酒席があるなんて。詩のある暮らし・・・どころか詩が生まれる暮らしなんて!
(このあと、少々、寄り道をしながら、「日本の鶯」に続く。)

☆写真は、スイス レマン湖畔 スイスワインの拠点の街ヴェヴェイにあった「バッカスの子どもたち」というタイトルの像。後ろの建物は、ホテル・デュ・ラック

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