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みんなみすべくきたすべく

詩人なんかは反芻の専門家だ

        クライネシャイデック牛j
(承前)
  「聖母の曲芸師 短編物語3」(堀口大學訳)の中には、5つの短編が入っていました。アナトール・フランス以外は、ジュール・シュヴェルヴィエルの「少女」とトリスタン・ドレエムの「少年パタシュ」3篇でした。(***どちらもフランスの詩人で、「堀口大學訳詩集」*には、数編の訳詩が収められていますが、ほかの作品を読んだことがありません。)
 特に少年パタシュが、僕・父親と会話する短篇3篇の中でも「パタシュは反芻がしたい」はちょっと可笑しい話でした。が、心に残る話。

≪パタシュは、仔羊や牡牛が反芻しているのを飽きず眺めながら、問います。
―僕にも反芻の仕方を教えてね」
―そりゃ駄目だよ。」
―僕が一人で覚えなきゃいけないの?」
―そうじゃなんだよ、子供に反芻はできないんだよ。」
―僕が大きくなったら出来るの?」
―大きくなってもやっぱり駄目だ。」
―ふうん・・・つまらないなあ。(後略)」
・・・と、二人の問答は続き、ビスケットがなくても、ビスケットがどんなものか知っている、おいしいものだとパタシュが答えると、
―そんなら、あんたも牡牛と同じだよ、反芻してるんだよ。みんなが反芻するんだ。詩人なんかは反芻の専門家だ。彼等は少年時代や青春の楽しかった日を反芻する、すると彼等の過去の一切がよみがえって、心の中に浮かんでくる。(後略)」≫
(このあと、少々、寄り道をしながら、「幸福のパン種 増補版」に続く。)

*「聖母の曲芸師 短編物語3」(堀口大學訳 横田稔装画 書肆山田)
*「堀口大學訳詩集」(現代詩文庫 思潮社)
☆写真は、ユングフラウ壁が向うにそそり立っています。

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