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みんなみすべくきたすべく

一生の傑作

ヴェヴェイ塔j
ポオル・ヱ゛ルレエヌ 「落葉」 
≪秋の日の ヰ゛オロンの ためいきの 身にしみて ひたぶるに うら悲し。・・・・≫(海潮音:上田敏全訳集 岩波文庫)
 
(承前) 
 上田敏訳で有名なポオル・ヴェルレーヌの詩ですが、もしかしたら、上田敏が訳したおかげで、こんな異国の地、しかも、こんなに時の流れた同じ秋にも、思い出すことができるのかと思います。

 この詩の作者ヴェルレーヌは人として、弱いところの多い詩人だったようです。その分、人の心の奥底の部分も表現し得るのかもしれないなと思います。が、やっぱり、詩は、その国の言葉で、音にして楽しむのが大事なことでもあろうかと。

 堀口大學はその訳詩選「月下の一群」にも、このヴェルレーヌ「秋の歌」を選んでいますが、後に刊行した「ヴェルレーヌ詩集」(新潮文庫)の訳と、その訳はずいぶん違っています。

 その変化のいきさつを、堀口自身がこう書いています。
≪・・・原作の字面は、単に「秋のヴィオロンの」となっており、日も風も入ってはいない。十年ほど前まで僕も「秋のヴィオロンの」として安心していたが、ふとこのヴィオロンは秋の風の音だと気づいた時から、風の一字を入れることにした。これで最後の連の「逆風」とのつながりも妥当性を増すことになる。一生の傑作とも言うべきこの絶唱が成った時、ヴェルレーヌはまだ二十歳だった。原作の、ささやくような音声と憂いに満ちた魂の風景には、この詩人の一生の詩の特徴が要約されている。・・・≫(続く)
ヴェルレーヌ「秋の歌」
≪秋風の ヴィオロンの 節ながき啜り泣き もの憂きかなしみに わがこころ 傷つくる。・・・・≫(堀口大學訳 新潮文庫)


☆写真は、スイス ヴェヴェイ ゲーム博物館。
  

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