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秋のホテル

ホテルデュラックj
 今夏、スイスのホテルを探すとき、○○○・デュ・ラック という名前のホテルが複数見つかりました。
 デュラックといえば、華麗な絵を描いたエドモンド・デュラックが思い浮かびますが、デュ・ラックが「湖の」というフランス語だということさえもピンと来ていませんでした。じゃあ。エドモンド・デュラックさんって、湖エドモンドさんってこと?

 さて、今度は、ホテル・デュ・ラックという言葉で探すと、英国ブッカー賞受賞の「秋のホテル(原題:ホテル・デュ・ラック)」(アニータ・ブルックナー著 小野寺健訳 晶文社)が見つかりました。
 行く前に読んでみたら、ガンガンに暑い日本の夏の日だったせいもあって、なんだかピンとこず・・・・というのも、人生に疲れた女性作家が、格式高いジュネーブ湖(レマン湖)畔のホテルに泊まり、そこで出会う人たち、わけありそうな人たちとの交流を通して、自分を見つめ直す、といった話です。邦題に「秋の」とついているくらいですから、夏の騒々しさの消えた、しっとり落ち着いた話の展開です。淡々と。英国ブッカー賞の本を多く知りませんが、「日の名残り」(カズオ・イシグロ 土屋政広訳 中央公論社 ハヤカワepi文庫 )に流れていた空気にちょっと似ていました。

 が、しかし、夏とは言え、実際に曇った日にジュネーブ湖畔(レマン湖畔)、ヴェヴェイの街にある「ホテル・デュ・ラック」の前を通ると、そこは、格調高そうな立派なホテル。昼間っから、しっかりスーツを着込み、片手にシャンパンを持った男性陣が庭で談笑していて、我々の泊まったようなホテルではなさそうなのがわかりました。(結局、我々は、別の街の二つのホテル・デュ・ラックに泊まりました。)

 アニータ・ブルックナー「秋のホテル」の書き出しはこうです。
≪窓から見えるのは、どこまでもつづいている、灰色の世界だけだった。灰色の庭には名前も知らない、葉の固そうな木しか生えていず、この庭の向こうには広大な灰色の湖が麻酔をかけられた患者のようによこたわっているはずなのに、対岸は見えない。・・・・≫

         ヴェヴェイ曇りj

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